あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第二週火曜(4月9日)

・headacheとvision change
headacheとvision changeがある例では、片頭痛っぽくても指導医は簡単な脳神経診察を行ったうえで基本的に眼科に紹介し、眼球運動や視野に異常がないかを確認してもらうとのことだった。
視野の精密検査機器(opti table?)がFamily Medicine Centerになく、残念ながら自科では実施できないとのことであった。
 
片頭痛ミミックとしてのアレルギー
季節性アレルギーは片頭痛ミミックとして重要である。
指導医は診断的にOTCの抗ヒスタミン薬を推奨していたように思う。
 
imprivataのデバイスが利用され、カードのタッチですぐにログインできるようになっている。
電子カルテの端末本体はとても小さく、CPUはIntel ATOM×5であった。
調べたところかなり非力なCPUのようだが、カルテの動作は十分早そうに思えたので、よっぽどソフトウェアが軽いのか?
OSはWindows0で、ハードはWyse3040。
おそらくどこかに中心となるコンピューターがあって、各端末上に仮想デスクトップを構成しているような状態なのだろうか。
詳しくないのでわからない。誰か教えてください。
 
・AHRQ ePSS 
日本でお世話になっている先生に教わって知っていたが、こちらでは医者のみならず学生も活用しており、レクチャーでも利用されていた。
年齢や性別などを入力すると、Agency of Healthcare Research and Qualityの推奨されるスクリーニング検査項目が一覧となって出てきて、とても便利。
 
・H. pylori検査
アメリカではH.pylori検査は胃潰瘍など有症状の人に対して行われる。
第一選択は日本のような内視鏡ではなく、採血によるHP抗体や尿素呼気試験である。
 
基本的にアメリカでは無症状の人に対してピロリ菌を検査することはない。
これはアジア人に比較してピロリ菌による胃癌リスクが低く、むしろsmoked foodによる胃癌などの方が問題であり、費用対効果が伴わないためである。
 
・Alka-Seltzer Gummie
ふつうに売ってるグミで、おそらく逆流による胸部灼熱感を、含まれているリン酸カルシウムによるph軽減で緩和するすることをねらったもの。

第二週月曜(4月8日)

(ご意見ご質問や、オクラホマで確認してきてほしいことなど、ございましたらなんでもコメント等にお寄せ下さい!)

・レジデントの先生の入れ替わり
僕が今いるチームであるBlue Skyには3人のレジデントの先生がいるが、おそらく1週ごと程度で順番に別のレジデントの先生に入れ替わっていく。
また、レジデントの先生はかならずしもFamily Medicine専攻ではなく、Psychiatryなどのレジデントもいるようだ。
イマイチ仕組みがわからない…(ただPsychiatryのレジデントも普通にプライマリケア診療やってたので、もしかすると初期研修における地域医療枠みたいな立ち位置なのかもしれない)
 
・電カルとネット接続
電カルを開いているその画面のままで、インターネットにもつながりUpToDateや各種検索が可能。
以前そういう病院を見学したことがあるが、そこでは仮想デスクトップを応用して電カルへのアクセスとWebへの接続を完全に遮断していた。
今回はそのような仕組みは見られそうになかったけど、セキュリティ大丈夫なのかな?
 
・避妊デバイスの抜去
皮下デバイスIUDともにだいたい3年後にとりはずす。
おそらく、放出しているエストロゲンの関係だと思う。
今日みた方では、皮下デバイスを切開して取り除いた穴からそのまま新しいデバイスを挿入していた。
 
・diaper rash(米)/rappy rash(英)
おむつかぶれ/おむつ皮膚炎
Huggiesのおむつで比較的よくみられる。接触性皮膚炎の一種。
肛門周囲よりも、おむつに直接触れる外陰部などに発赤/腫脹がみられる。
 
・小児のカルテ
成長曲線がすぐ参照できるようになっており、いいなと思った。
 
・tibial spine fracture
おそらくACL付着部の裂離骨折のこと。
スポーツをする少年期に多く生じ、ACL損傷に準じて治療されるが、比較的稀な骨折である。
ただ診た患者さんは60代で、おそらく背景にOAがあり、片方の裂隙が狭小化している一方で、もう一方(骨折側)が開大していることで気づかれた、というようなことを言っていたと思うが…自信が無い。

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・flu診療
<USAでのflu好発時期>
fluは米国では冬に多いものの、全シーズンに起こりうるようだ。(といっても夏は流石に少ないが)
4月のオクラホマシティでもfluは発生しており、発熱や咽頭痛、筋肉痛などの症状が発症し時間がたっていれば迅速検査をしていた例を何例かみかけた。

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<fluと予防接種>
・flu shotを打っていると迅速の結果が修飾されることがある、と指導医の先生がおっしゃっていたように思ったが、聞き取りに自信なし。
日本感染症学会で調べたところそのようなことはなさそうだったので、もしかすると日本は承認されていない経鼻生ワクチンの話かもしれない。
 
<出席停止>
学校やデイケアへの出席停止は非常に厳しいらしく、 インフル陰性であっても99℉を超えていれば停止になる?ちょっとうまく聞き取れなかった。
99℉って37.2℃くらいなので、さすがにそんなことはないと思うが、、、、機会があればまた訊きたい。
 
<抗インフル薬>
FDA承認薬はTamiflu、Relenza、Rapivab(ラピアクタ)
タミフルですら「not good medicine」で、薬価が高い上にリスクが多く効果も小さい。とこちらの先生は言っていた。
実際の診療風景でも(迅速が陽性か陰性かにかかわらず)、説明と、蜂蜜+温かいのみものを勧めて終わることが多い。
特に子供にタミフルを処方することにはとても慎重のよう。
 
・Annual Wellness Visit
メディケア受給者(65歳以上)に年一回行う。
認知症スクリーニング(時計と単語反復)、Amsler gridによる加齢黄斑変性スクリーニング、栄養状態の問診表での確認など
身体診察はしない。

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・肺炎球菌予防接種
PCV13(Prevnar13)の摂取後、1年以上間隔をあけてPPV23(Pneumovax23)を実施する。
 
・予防接種表
子供の患者が受診した際、生年月日から起算されて全ての予防接種の接種予定日が書いた一覧表が渡される。
接種実施のための受診時は、その紙で本日shotを行う部分が蛍光ペンで強調されて患者に手渡される。
また、同時にその時期(15moth/9monthなど)の注意事項が印刷されたA4プリントが親に手渡される。
 
※参考

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・Infant Ear Pierceing
赤ちゃんにピアスをしている例をそれなりに見かける。
どうやら、文化的な理由とかもあるっぽい?親も鼻ピアスをしていたりするので。
(おそらく女児が幼いうちに耳ピアスをし、成人すると鼻ピアスをするのはインド系の文化のようだ)
当然感染などのリスクもあり、破傷風などの感染を減らすためせめて予防接種後の6ヵ月以降とすることが推奨されている。
 
・vasectomy
精管切除。
永久的不妊手術であり、局所麻酔下で30分程で行える。なんとこの手術もFamily Medicineでやっちゃうらしい。
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・poison cotrol
米国における中毒のホットラインで、24時間対応している。
電話サービスだけでなく、アプリもある。
日本でいうところの中毒センターに直接患者がかけられる感じのようで、ちょうど歩き回れるくらいになってきた子供のいる家族に、万が一の場合は使用するよう指導していた。
 
・GoodRX
米国では、同じ処方薬であっても、どのような保険に入っているか、どの薬局で出してもらうかで、薬価が異なる。
GoodRXは薬局間での薬価の比較を行えるサービスであり、利用可能なクーポンがある場合は合わせて表示される。

第一週金曜(4月5日)

今日は実習が休みなので、到着した金曜日のオリエンテーションで見学したOU-Tulsaの施設などについてご紹介します。
 
・OU-Tulsa (Schusterman Center)

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OU-Tulsaは医学関連の諸学部を中心として、EngineeringやArchitecture、Arts&Scienceなどの学部を併せもつ。
一部の施設は、オクラホマ大学出身の女性実業家/慈善家のLynn Schustermanが
設立した基金により建設されており、その名が冠されている。
 
・図書館 (Schusterman Library)
無料コーヒーやスマホ充電器、本を読みながら使えるランニングマシンなど、異常にアメニティが充実している。
学術書からマーベル映画のDVDまで幅広く取り揃えていたのが面白かった。
 
・OU-tulsa Student Affairs / Lounge
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学部問わず、学生が駄弁ったり自習したりテレビでOUのチームを応援したりする場であり、ホグワーツにあってもおかしくなさそうな重厚な雰囲気であった。
一方で卓球やビリヤード台もたくさん置いてあり、しばしば学生同士のトーナメントが行われる。壁には夥しい数のトーナメント表が貼り付けられていた。
スポーツジムも併設しており、学生は無料で利用できる。
 
・シミュレーションセンター

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学生は申し込みをすれば自由に利用可能で、OSCEもこちらで行われる。
模擬診察室が5つほど、模擬病室(観察室みたいな感じ)が2つあり、すべてシミュレーション専用である。
内診シミュレーターなど数々の機器が置かれた部屋も存在する。
面白かったのが、患者さんの自宅を再現した部屋である。こちらは主にMSWの研修に使用されるようだ。なんと冷蔵庫にはほんものの食品が入っていた!
 
・シミュレーションセンター2階

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医学生のためのスペースであり、1学年(30名ほど)ごとに部屋が与えられる。
1名につき1つデスクが与えられているのが羨ましかった。
他にもグループ学習用の小部屋がたくさん準備されている。
大きな共用キッチンもあり、昼休みに休憩しに来る人、ご飯を作っている人、試験前に泊まり込みで勉強する人など、様々な利用の仕方があるようだ。
 
・授業風景

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2年生の病理の授業を見学した。(USMLE STEP1および試験前の復習として行われていた模様)
授業は1時間区切りで、全ての授業がオクラホマシティキャンパスとウェブ中継され、また基本的にクイズ形式などを用いて双方向で行われる。
見学時は消化器の病理が出題範囲であり、4名ほどずつ小グループに分かれ、スマホを使って回答していた。
発言はグループの番号で指名されるが、オクラホマシティキャンパスのグループが当たれば発言者がズームされて前のモニターに映る。逆もまた然り。
この通信システムをスムーズに実現させるため、エンジニアが常駐し異常がないかをモニターしている。
みんな優秀ですごかった。

第一週木曜(4月4日)

(ご意見ご質問や、オクラホマで確認してきてほしいことなど、ございましたらなんでもコメント等にお寄せ下さい!)
 
・レジデントのquiz
朝行われ、A4一枚で、今日のは症候学に関するものだった。Unintentional Weight Lossに関する選択肢式の問題群。
それに関して終了後レジデントと上級医でディスカッション。
 
オクラホマの気候(タルサ)
オクラホマ、特にタルサでは「今の天気が気に入らなかったら5分待て」とジョークにして言われるほどに変わりやすい。
砂漠のように乾燥した台地が広がって毎日カンカン照りなのかと勝手にイメージしていたが、快晴で乾燥して砂がめっちゃ飛んでくるなぁと思っていたら、次の日には嘘のように大雨が降るし、風が吹けば竜巻が多い地域なだけあってとても強い(OKCにいる同級生は風が強くて停電したと言っていた)。なかなか大変な気候である。
 
・Botox Training Course
毎年?ラスベガスで開かれているPhysician向けの勉強会で、面白いらしい。
午前にレクチャー、午後に実際の患者さん/ボランティアに対する治療ハンズオンが行われる。
文字通り本物のボツリヌストキシンを使って注射の練習をする。
これもある意味Bedlamと一緒で、参加者にとっては無料でボトックスを受けられるというメリットが提供されている。
 
・肩の診察
Range of motion/Impingement signs/Strengthの3つのポイントで診察する。

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Speed's testは二頭筋腱損傷に対して特異度が高く有用な診察法である。

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Popye signは完全な断裂の際に生じ得るが、部分的な損傷であれば生じない。
Xpは骨の圧痛が無いと判断し施行せず。
 
運動療法と保険
運動機能の負傷に対しては運動療法が適応になる場合があるが、その場合Family Medicine CenterがもつSports Medicineの部門が見れるかどうかが保険により異なるらしい。
SoonerCare(比較的よく見かけるものの1つ)ではSports Medicineの保険カバーがある。
 
・皮膚インプラントnexplanonによる避妊法
UIDに比べて、PIDのリスクが無いという点が極めて大きい。
エトノゲストレル(プロゲステロン)を放出する。
生検針のようなデバイスで、局所麻酔下に上腕の皮下に挿入する。
米国ではかなりcommonなようだが、日本では未承認。

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・伝染性軟属腫(molluscum contagiosum)
ポックスウイルス科のモルスキポックスウイルスによる。
小児に好発し、中心にdimpleをもつ野が特徴。免疫低下した成人にも起こる。
小児では顔面/体幹/四肢、成人では外陰部など。
無治療でもいいが、6-12ヵ月ほど残る。
 
・Family medicineのclerkshipとレクチャー
Family medicineのclerkshipには、外来業務の合間を縫うように各種レクチャーが設定されている。
レクチャーはDM等の疾患各論から予防医学、家族計画に関するものなど。
授業風景は日本のポリクリで見られるような少人数授業と変わらないが、パワーポイントは使われないことが多い。
先生が学生に質問を投げかけると、ほぼ全員が打てば響くようにすぐ回答するのが印象的。
ただ、レクチャーの中には15km程離れた別の病院に移動しなければならないこともあり、大変そう。
後日書こうと思っているのだが、OU-Tulsaの授業はすべてOKCキャンパスとネット中継されていた。そのようにこれもビデオ会議で行えないのだろうか?
 
・St. John病院とSaint Francis病院
Tulsaには大きな総合病院として、St. John, Saint Francis, Hilcrestの3つがあるが、特に前者2つはかなり対照的。
St. Johnは全米でも珍しいほどにチャリティーが盛んであり、Bedlamでみた無保険者の患者を紹介した場合、無料で治療対象となる場合がある。
一方Saint Francisは学生からも人気のある病院だが高所得者をターゲットに運営されており、Bedlamから患者を紹介しようとすると、断られることすらある。
 
・民間保険と治療選択
保険の種類により治療選択が変わることはやはりあるみたい。
話を聞いた例では、重症の乾癬にモノクローナル抗体治療を行いたかったができなかったとのこと。
加入する民間保険は職業により規定されることが多く、「この治療ができないからこちらに」と好きに別の保険にのり変えるたりできるものではない
外科では比較的手術選択が保険により規定されることは少ないが、それでもたまに外科医が保険会社の人と交渉しているのをみることがある。
 
・Bedlam E(=evening)
Bedlamは時間帯で2つに分かれている。
Eveningは18:00-20:30くらいで、だいたい学生1人当たり2-3人の患者をみる。
サマリーの記入まで含めてすべて学生がするので、終わるのはだいたい21時を回る。
 
・Warren clinicのFamily Medicine診察室
レクチャーのために別の病院のFamily medicineに行く機会があり、ちょっとのぞいたけどそんなに構造は変わらない。
やはりドアが一つだけで、ギュンギュン動く電カルアームに関しても同じ。
 
・吸入インスリン(Afrezza)
日本では未承認の吸入による速効型インスリン。肺表面から吸収される。
インスリン自己注射に比べて簡便であり、また注射を恐れる患者に対しても利用できるというのが最大のメリット。
しかし一方で、喘息やCOPDの患者に対しては利用できない。
ちなみに、経口インスリンの開発も進んでいるらしい。

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ApeX(Advance Patient-Centered Excellence)の電カルが最も一般的であるが、日本と同じく様々な種類のものがあり、全く統一されておらずPMHの情報収集等で困ることが多い。
カルテ情報の統合に関しては、国単位どころか州単位でも統合されているところはなく、オクラホマでも一部で都市単位に行われているのみに留まる。
タルサではMyHealthというサービスが医療情報の統合をサポートしている。
 
・救急車
救急車を呼ぶのは有料だが、(タルサだけなのかは不明だが)市の予算により、住宅の購入時や賃貸の際に救急車費補助が付与されている。
米国では医療への最初の入口は原則ERかfamily phisicianのみである。日本でも適切なトレーニングを受けたFamily Phisicianが増えて同様の機能を果たしてくれることを願うばかりである。
 
髄膜炎菌ワクチン
渡米時に自費(約2万円)で接種するかを悩んだ髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ)だが、欧米では公的補助がある。
12歳に1度接種が義務付けられ、16歳で2度目が推奨されている。

第一週水曜(4月3日)

電子カルテの端末
十分な数が備え付けられているが、アカウントさえあれば自前の端末でもアクセスできる模様。
このため、学生が自分のラップトップ1つだけを診察室にもっていって予診する、ということが可能である。
また、カードをピッとすることでログインできるシステムになっているが、どこかの端末で開いた状態で別の端末で開くと、先に開いていた方は自動的にログオフされる仕組みになっている。
 
アメリカの医大と経済事情
アメリカのmedical schoolにも公立と私立がある(オクラホマは公立)が、学費はあまり変わらず1年で300万円程である。
また入試の倍率も大変高く、経済的な理由と併せて、日本と同様医者の子供が医者になることも多い。
 
アメリカの医大と人種
30年?ほど前は人種間較差の是正のために、白人○○人、黒人△△人、という形で入学人数を定めていたが、やはり不公平だという意見が多く現在は行われていない。
現在は少数のバックグラウンドをもつ人に対する奨学金などを設けることで、より穏便に是正を働きかけるのが一般的だということである。
 
・竜巻の避難訓練
何も知らなかったのでいきなりサイレンが鳴ってビビった。
窓が無い、比較的建物の中心部にある診察室が"severe wheather shelter"であり、そこに職員が移動する。
アメリカ中部には竜巻が多く(特に5月)、この辺りの病院にはかならずこういった避難訓練やシェルターがある。
とある先生は、「5年いるけど、近くで台風が出て避難になったことは一度もない」といっていた。
ただ、竜巻を経験したり見たりすること自体はかなり一般的な模様。
 
C型肝炎の扱い
ウイルス性肝炎の中でも特に、C型肝炎は治療が高価だが可能になってきた関係で、薬剤歴や性交渉歴、抗体価など十分な情報を集めた上で、診断に際し全例でビデオカンファレンスが行われる。
参加者はFamily physician、感染症専門医、臨床薬剤師で、そこでの内容がまとめられ患者にも提供される。
 
・ACE(Adverse Childhood Experience) score
1995-7に米国で行われたstudyにて、ACE(小児期のトラウマ)が生涯の健康/社会問題に関連することが示された。
10問の質問で構成されるACEスコアが高いほど、成人後のアルコール依存やうつ、自殺、COPD、肝炎など様々なリスクが高まり、一方で仕事の能率は低下する。
 
・杖
これはポーランド/ハンガリーを旅行した時にも感じたことだが、日本のようなT字杖はほとんど見られず、ロフストランドクラッチの頻度が高い印象。なぜだろう。
今日見た患者さんではOAに対して片側で使用していた。
 
・オーグメンチン875/125mg
こんなニッチなところで感動してしまった。
日本で承認されてるのはオーグメンチン250/125。足りないので、サワシリン250を2錠合わせて750/125にしている(オグサワ)
 
・学生/レジデントと手技
今日は2つの手技があった。
手技をやっていたのは1年目レジデントや学生。
学生は見学になっても、患者さんへの声掛けを担当しており、素晴らしいと思った。
今日見学した手技のうち、巻爪の剥離はレジデントが、トリガーポイント注射は学生が行っていた。
 
・レジデントについて
必要であれば上級医に相談するが、基本は自己判断のみで診療してよいようだ。
1週間に2度、様々なジャンルに及ぶquizがある。
家庭医療だけではなく、スポーツ医療や皮膚科などもローテーションでき、より多く外科手技などを経験することができる。
研修期間中に研究・発表も行うことになっている。
実際、指導して頂いている3年目レジデントも、後述するResearch Forumで発表していた。
ポートフォリオはどのようになっているのだろうか?ぜひ聞いてみたい。
 
・小児予防接種
接種前の診察とオーダーまでが医者の仕事で、予防接種はナースが実施しててしまう。
(ドイツでは日本と同様、医者が予防接種をするらしい。)
小児の必要な予防接種は米国であっても無料で受けられるが、日本と同様ワクチンが自閉症の原因になる等と信じて予防接種を行わない親も増えてきており、麻疹が再興してきている。
 
・Birth Control
米国ではIntraUterine contraceptive Device(子宮内避妊具/IUD)の使用頻度が比較的高く、避妊法の5.5%を占める。
バイスは子宮内に高エコーで観察される。指導医は名札に小さいデバイスの模型をつけていて、すぐに見せられるようにしていた。
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・入れ墨
入れ墨を入れている人がかなり多い。体感では過半数を超えている。
MRIの時にはどうするのだろうか?
 
・禁煙指導
オクラホマにはTSETとQUIT NOW(?)という2つの禁煙プログラムがある。
TSET: 12週であり、ニコチンのパーシャルアゴニストであるchantix(バレニクリン)を用いるため、やや高価。開始1週経過後から禁煙する。
QUIT-NOW: 8週で、薬を使わない。無料。
喫煙の診療に関しては、やはりブリンクマン指数ではなくパックイヤーで会話していた。
 
・まさかの腹痛の原因
Flamin's Hot Cheetosという激辛スナックの食べ過ぎで胃炎になる人が割といるらしい。笑
今日は実習が早く終わり、サイクリングをしていたところ発見したため試してみたが、終わってるくらい赤い色をしていて激辛すぎた。とても全部は食べられなかったので捨てた。

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・flu診療
無意味な迅速検査や抗ウイルス薬投与は避けられているようで、好印象だった。
子供のウイルス性と考えられる咳に対し、薬を出すのではなくハチミツを温めた飲み物に加えて服用することを勧めていた。
あまり詳しく聞けたわけではないので、次の機会に期待する。
 
・Research Forum
年一回、OU-tulsaで開催されている。
オクラホマ大学だけではなく、タルサ大学などの近隣の大学の研究者/レジデントが集い、軽食を食べながらポスター発表や交流をする。
公衆衛生的な内容が比較的多いものの、基礎医学、工学、数学、物理学など多種多様な発表があり、見ていて面白かった。
また、LGBTに関する研究も多かった印象がある。オクラホマLGBTとの間にはどのようなかかわりがあるのだろうか?
実は今日、帰りのUberの運転手にいきなり俺はバイだとカミングアウトされ、かなり誘われて恐怖したのだが、それも相まって詳しく知りたくなった。

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(おまけ)
ステイ先の周辺をサイクリングし、オクラホマ屈指の大病院であるSaint Francis Hospital(約1100床)を探検してきた。
ホテルかと見まがうほどの美しい受付/売店や教会、圧倒的な広さの敷地に驚いた。
こども病院が付属しており、その横にはこどもが病気やけがで入院した際、遠方からの通院が大変な家族に衣食住を提供するという「RONALD McDONALD HOUSE」があった。ハンバーガーでおなじみのあのマクドナルドがチャリティーで展開しているものである。
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第一週火曜(4月2日)

アメリカ社会とcannabis(大麻/マリファナ)
オクラホマでは昨年大麻が医療利用に限り合法になり、新規マーケットであるため「green doctor」「take care yourself」などの名前で多くの企業の看板を見ることができる。
アメリカでは乱用の相次ぐopiatesの代用としても大麻が有用であると考えられており、主にターミナルケア領域を中心として半数以上の州で認められつつある。
一部の州ではrecreationalも含めて合法で、処方箋なく購入することができる。
 
・家庭医と患者の距離の取り方
指導して頂いている先生のように、動くモニターを駆使して患者となるべく正対する医師がいる一方で、それでもモニターにばかり向かいきりになり「患者を見てくれない」といわれる医者はアメリカにもいるらしい。
 
 
・抗菌薬乱用
アメリカにおいても、根拠のない抗菌薬投与は行われている模様。
日本と同様、患者は何かの薬の処方を期待して来院するため、という心理が働いているようだ。
経口第三世代セファロスポリンもそれなりにつかわれている?(僕の訊き方が悪かっただけでセファロスポリン全般かも)
 
・504(five-o-four) accomodationとIEP
どちらも障害を持つ子供に対する教育プログラムに関する用語。
似ているが微妙に違う。
<504>
1973年にできたリハビリ法第504条に依るもの。
障害のある生徒と同じ学校区に、障害のない生徒と同程度の教育を受けられる施設を設置する配慮をするよう義務付けられている。条件は「身体的または精神的な障害がある」「障害により日常生活が相当に障害されている」
学ぶ環境へのアクセスが担保された宿泊設備?(accomodation)を確保するものである。
 
<IEP>
Individualized Educational Plan
対象は504と大きく変らない。そういった子供たちが特別な教育や関連サービスを受けられるよう担保するものである。
 
<違い>
障害を持つすべての子供が特別な教育を必要とするわけではない。
特別な教育を必要としなくても、公共の教育やサービスへのアクセスのための補助が必要な子供はいる。
504 planに乗っている生徒は特別な教育を必要としないものの、その内容が子供其々の求める環境に対しもっとも効果的なacomodationを提供できるよう、毎年更新されるべき。
 
アメリカ社会と妊娠/結婚
アメリカでは大半の州で、双方が18歳以上であれば親の合意なく結婚可能である。
親の合意や司法判断があればそれ以下でも結婚可能な州は多く、33州で下限が定められている。
(14-18歳と様々で、OKは親の書面での同意があれば16歳、それ以下の場合は司法判断)
 
アメリカでは1980年代からセルフメディケーションの概念があり、軽症に対するOTCの利用が盛んである。
アメリカはOTCが多く、医師が処方箋ではなくOTC購入を指示して終わることも多い。(おそらく高額な医療費負担を避ける目的もある)
PPIや抗ヒスタミン薬がOTCで普通に売ってる。
 
・UpToDate
電子カルテのモニターからすぐにそのままUpToDateにアクセスできるようになっていて、そこでさっと調べている。
日本のように様々な教科書類が診察室においてあるということはない。
 
・メディケアとメディケイド
メディケア: 65歳以上、および身体障碍者
メディケイド: 生活困窮者を対象とする
 
アメリカの肥満度
肥満はBMI30以上で定義される。
アメリカの肥満人口は全人口の30%前後。特にnon-hispanicの黒人で肥満率が高い。
肥満人口の割合は中部~東海岸で高く、西海岸で低い傾向にある。
(確かに前入りして観光したサンフランシスコではそこまで肥満の人は目立たなかった印象)
OKは2017年データで肥満度が35%を超えている7州のひとつである。

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(出典: Adult Obesity Prevalence Maps, Centers for Disease Control and Prevention)
 
なお、アメリカでは肥満の有病率が極めて高いため、背中の痛みと脚の痛みはcommon diseaseである。
 
 
・SpectraCell Micronutrient Testing
一企業が行っている人間ドックてきなもんらしい。
おそらく、食事から微量栄養をとれているかスクリーニングする予防医学ビジネスだろう。
あるいは疑似科学的なものか?日本でも自然派ママや反ワクチンが幅を利かせているが、アメリカでもそうなのだろうか。明日以降に詳しく知りたい。
 
 
PCP
Primary Care Physician。Pneumocistis Carinii Pneumoniaではない(そもそも今はCariniiではない)
 
・院内薬局
院内薬局の様子は日本とあまり変わらないが、自動で一包化してくれる機械がなく、薬剤師さんが手動でピルケースに分割しラベルを貼っていた。
尋ねたところ、大病院では自動化されているところもあるとのこと。
日本のように文字通り「一包化」されているのか、自動でもピルケースを使っているのかは不明。
また、大病院では薬局を外部企業が運営しているケースも一般的らしい。
 
・メンター(4年生)
各ローテーションにほぼ必ず上の学年の学生が待機している。(Family medicineはマッチング終了後の4年生が1人)
一緒に実習を行ったり、屋根瓦教育のように上の学年が下の学年を教えるというわけではないが、
1年上の身分として実習に関するあれこれについて相談に乗る、という立ち位置らしい。
 
・多職種教育
Family Medicine Centerは、MDのみならずNP(Nurse Practitioner)やMSWの養成の場でもある。
各職種が分け隔てなく机を並べており、ミックスされて教育/診療が行われている。
医者も白衣を着ていないので、正直一見すると誰がどの職種かわからない。
またOU-Tulsaの本部であるSchusterman centerのシミュレーションセンター(設備については後日)には、患者の自宅が再現された一角があり、主にMSWの研修に利用される。
院内薬局に薬学生が来る場合もある。
 
・Resource Screening
全患者に対し、MSW(の研修生)が記載するシート。
簡単な家庭状況、収入、PHQ-5などが含まれる。
"Do you consider yourself part of a religious a spiritual community?"という質問が独立してかなり初めの方にあるのが興味深かった。
 
・Bedlam clinic
OU-Tulsaの誇る衝撃の教育・診療システム。
実は僕が伺っているFamily Medicine Centerでは、同じ箱を利用して、Family Medicine ClinicとBedlam Clinicの2種のクリニックが時間交代で運営されている。
Bedlamは火曜の午後+夕方以降と、木曜の夕方以降に行われており、学生は時間帯ごとに割り当てられ出席が義務付けられる。この時間帯には、Family medicine以外のローテ中であっても、全ての学生がFamily Medicine Centerに集合する。
 
Bedlamの最大の特徴は、保険がすべての国アメリカにあって、無保険者に対し無料で診療を行っていること と、 学生が診察からオーダー、処方/処置まで全ての意思決定を独力で行っていること にある。
学生が行っていい行為は診療所で可能な全てであり、より高度な検査のための紹介なども可能である。
指導医は在院し問題が生じないようモニターはしているものの、原則は学生にすべて任され、よほどのことが無い限り介入することはない。
 
予算は政府からの補助金と寄付で運営されている。
このようなシステムはオクラホマ大学のオクラホマシティキャンパスには無く、また全米でも珍しい取り組みとのこと。
ある意味では無保険者の弱みに付け込んだ形にも思え、国民皆保険を原則とする日本ではまず行えない仕組みであろう。
 
このシステムがあるため、OU合格後のキャンパス選択の際、OKCではなくタルサを選んだという学生も多いらしい。
 

第一週月曜(4月1日)

・OU-Tulsaのfamily medicine
外来を担当するphysicianに加え、スポーツ医学(リハビリ/予防医学的なニュアンスか?)の医局もある様子。
OU-tulsaの家庭医療レジデントは、Family Medical Centerでの外来業務に加え、別の病院でのin clinicの勤務も期間ごとのローテーションで行っている。
米国は家庭医療とhospitalistがきっかり分かれているイメージがあったが、どうも州によってはそうでもないらしい。
 
・学生とfamily medicine
学生は3年生×6名。1ヵ月のローテーションで、2-3年目のレジテントについて、自分で問診身体診察、プレゼン。
合間にショートレクチャーや、自分で建てたCQに関する抄読、SOAPレポートの提出、OSCEがあり、最終日はテスト(100問でめっちゃむずいらしい)。ローテの最終日にテストがあるという流れは他科でも共通している模様。
家庭医療のローテはoutpatientの経験のかなりの割合を占め、非常に重要。
 
・米国とfamily medicine
米国のmatchは毎年3月。2019年は12%ほどがプライマリケア領域に進むとのこと。
学年でどれくらいがそちらに進むかは、大学がどこに力を入れているかにより異なる。
(ex. OU-tulsaはOKCと比較してプライマリケアに力を入れている)
 
・クリニック全体に関して
そもそも、診療チームが3つ(Blue Sky/Red Bud/Gleen Field)に分かれている。
各チームの診察室は5つほどで、出入口は一つしかない。
患者は受付から診察室まで移動する間に、医局的なスペースを通過する。大丈夫なの?
→向こうの学生に聞いたところ、逆に日本のように医師と患者のスペースが完全に隔てられていることに驚いていたので、これが米国では普通なのかも。
 
・診察室について
全体としては正方形に近い形であり、広い。
電カルの端末がアームで吊ってあってビュンビュン動くので、医者は好きな位置にいれる。
このおかげで患者もどこに座ってもいいし、距離感も調整しやすく、正面もとりやすい。
診察台は可動式のやつ(歯医者みたいなやつ)が1台斜めに置いてある。
部屋それぞれにパンオプティックと耳鏡が常備してある。
 
当然だが全てのプロブレムに対しICDの記載がある。
服薬のみならず、弾性ストッキング的なものや靴などの処方(アドバイスか?)も医者が行っている。
処方箋を直接データで患者の最寄の薬局(walmartなど)に送ることが可能。手間が短縮できる。
"registration insurance"の項に患者が加入している保険について記載がある。
 
・DO
doctor of osteopathic medicine
MDと別の資格でありるが、アメリカでは完全に医者として扱われる。
多くの点で違いはないものの、DOはMDの過程に加えオステオパシーの手技を習う点がことなる。
背景として、医師が減少傾向にあるのに対して、オステオパシー医学校への入学は一向に減っておらず(入学しやすさの問題)、医師の数を増やすための国家的働きかけがあるとされる。
 
・shadowing
いわゆる外来見学。向こうの学生さん(3年生)は自分で問診とるのが好きっていってた。そりゃ当然か。
彼はプラカードに問診事項/身体診察事項をまとめ携帯しており、もう覚えたと言ってプレゼントしてくれた。
 
・OB=obestetrics
オクラホマは全米でトップクラスに肥満が多い。OBが家庭医療の一部門として独立するのもしかるべきか。
実際見学しててもその印象に間違いはない。多い。
それに関連して、DMも大変多い。詳しくは後日。
 
・translator
オクラホマは比較的南部に近く、メキシコの影響が大きい。
スペイン語のみの話者もおり、その場合はtranslatorを介する。
もともとtranslatorとして病院に勤務していた人が、医者になろうと医学部に入るケースもあるようだ。
 
・人種
白人/黒人(ヒスパニック系含む)が半々くらいの印象で黄色人種はほとんど見かけない。
肌の色が普段見慣れたものから変わると、一気に皮膚所見がわかりにくくなる。
 
・往診
往診もmedial centerからやっているが、そんなに数は多くなさそう。
同行を願い出たが残念ながら許可されなかった。
 
 
・顔写真
おそらく、受付のところにカメラが設置されており、受付済みのひとに関してはカルテをひらくと顔写真が見れるようになっている。
 
・白衣
医学生はみんなシャツ±ネクタイに白衣だが、医者は本当に全然着てない。
スクラブの人、私服の人、ジャケットの人など様々。
NSやPAは黒いスクラブが多かった。
 
・身体診察
思っていたよりかは大事にされていない印象。明らかに精神的な問題である患者に関しては省略されることもあった。
ルーチンの聴診(服の上から)だけのことが多い。今後色々見たいがどうなるだろう。