あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第四週火曜(4月23日)

<Hillcrest Medical Center>
・今日のabbreviations
LOS: lengh of stay
intract NV: intractable nausea and vomitting
B/L: bilateral
fx: fracture
BID/TID/QID: Bis/Ter/Quater in die (一日二回/三回/四回)
qD: quaue die (everyday)
CP: chest pain
MPS: myocardial perfusion scan
EP: electrophysiology
CAP: community acquired pneumonia
PNA: pneumonia
BCs: blood cultures
MIVF: maintenance intravenous fluid (維持輸液的な感じかな)
LP: lumbur puncture
wnl: within normal limits
onc: on-call
BLE: bilateral lower extremity
LLL: lefto lower lobe
d/c'd: discontinued (OHI consulted, had pt on bumex drip but d/c'd on 4/15.)
Vtach: VT
BV: bacterial vaginosis
Cx: culture
TVUS: transvaginal ultrasound
UDS +meth: urine drag screening +metanmphetamine
PVD: peripheral vascular disease
in ED: everyday
AMS: altered mental status
rec: reccomendation
p/w: presents with
 
・ナースの略称色々
米国のナースやそれに準じる資格はたくさんあり、とてもややこしい。しかも州によって異なったりする。
LPN、RN、APRN、NP、CNM、CRNA、CNSなどなど。
まず大きくLPNとRNとAPRNにわけられる。
 LPN: Licensed Practical Nurse
 RN: Registered Nurse
 APRN: Advanced Practice Registered Nurse
LPNは主に看護学士号をもち、外来など専門性の高くないプライアリケアの現場が主な活躍の場である。
RNは看護学士に加えてNCLEN-RX(National Council License Examination-Registerd Nurse)という試験に合格する必要があり、可能な仕事の範囲が広がり薬物投与や診断なども許されるため、より専門性の高い分野で活躍する。
APRNは看護修士を卒業し、もっとも専門性が高くまた可能な診療行為の範囲も広い。検査オーダーや診断、処方までも可能であり、その専門性から4つに分けられる。
 CNM: Certified Nurse Midwife
 CRNA: Certified Registerd Nurse anesthetist
 CNS: Clitical Nurse Specialist
 
・Hillcrest Medical Centerの電カル設備について
Epic社の電子カルテが用いられており、診療所と同様シンクライアントが構築されている。
個室にはそれぞれ1つずつ電カル端末が壁に備え付けられており、総室にはおなじみのぎゅんぎゅん動くカルテが一つ。
最大の特徴は、アプリがあり医者が自分のスマホからも患者データにアクセスできることだろう。
またこれも診療所と同様だが、端末から直接ネットにアクセスすることができる。このおかげで、カンファレンスルームでYoutubeを流して楽しむことができる(なぜか今日は古い曲シリーズで、何か知ってる?と聞かれたのでとりあえずビートルズをリクエストして流してもらった。笑)
 
・点滴
病室で輸液ポンプの表示を見ていたところどうも違和感があり、計算してみたところ20滴1mlではないようだった。
drop factor (gtt/mL)というものが決まっており、日本のような20gtt/mLだけではなく、10/12/15などがあるようだ。
ぼくが見たのは125cc/hrの設定で、10秒間に4滴強だったので、おそらく12gtt/mLで1時間に1500滴流れていたのだと思われる。
gttの使い分けはよくわからない。
 
・MME
morphine milligram equivalent 
オピオイドの耐用量を大幅に超えて処方されている患者さんがいて、先生方が怒ってた。
線維筋痛症にもオピオイドをばんばん出しちゃうような医者や、みたいな感じのことを言っていたと思う。
Oklahoma PMP awareでは、MMEの上限を超えている旨が赤字で表示されていたが、どうせならMMEを超える処方であれば処方できないような仕組みにできないのだろうか?
 
 
<Wound Care Clinic
普段実習をしているタルサのダウンタウン近くの診療所/病院から、約20kmほど南に行ったところにある。
正式名称は「OU Physicians South Memorial」。
wound care specialistの資格を持った医師が勤務しており、Wound Care Clinicとして稼働している。
平屋建てでいかにも診療所という感じだが、中は意外と広くモダンな雰囲気。
診察室は10くらいはありそうで、他にも処置室やレントゲン室、検査室を備える。
医師は1人。
 
・患者層
普通に家庭医療のクリニックとしても機能しているため、全員がwound careに来院するわけではない。
wound careの患者は30-45%ほど。
こちらのクリニックのドクターはfamily physicianであるため、基本的には大がかりな手術は行わないものの、デブリードマン程度であればクリニックでやっちゃうらしい。
wound careのために来院する患者の原疾患は、1位venous disease、2位diabetic、3位arterialとのこと。
今日は残念ながら1例しかwound careを見学できなかったが、そちらはうっ血性心不全に伴う血流うっ滞での下肢潰瘍であった。
 
・米国のwound care clinic
wound care clinicは米国ではそれほど珍しいものではない。
大きくwound care basedの施設と、office basedの施設に分けられる。
前者はwound careに特化した施設であり、それほど多くはない。
後者はprimary careやpodiatry(足病)など軸になる専門がありその中でwound careを行う形態で、OU physicians south memorialもこちらに属する。
 
・wound careを行う医師
Certified Wound care Specalist Physician (CWSP)という資格がある。
ABWM(American Board od Wound Management)が認定する資格で、所定のプログラムをこなすことで認定される。
wound careの分野にはレジデンシーやフェローシップがあるわけではなく、あくまで認定プログラムのみなので、実際にはこの資格を持たずともwound careを行う医師は多数おり、それゆえクオリティの差が施設間で大きいのが現状である。
CWSPの医師は多くがpodiatristであり、次いでsurgeon。family phisician出身の医師は多くない。
通常wound careにはまずPCPからの紹介が必要だが、OU physicians south memorialのドクターはfamily phisicianでありPCPも兼ねているため、wound careを自己完結させることができる
特に糖尿病や心不全など、皮膚病変を伴いやすい慢性疾患のケアにはとても有利な環境である。
 
・診察室の様子
Family Medicine Clinicと大きく変わらず、ぎゅんぎゅん動くカルテは相変わらず健在。アメリカではやっぱりこれが一般的なのかなぁ。
良いなと思ったのが、診察室のドアの横に「LAB」「FLU」などと書かれたバーがあり、医者は診察後にこのバーを立てたり戻したりする。すると次にすべき診療行為が一目瞭然でスタッフ間で共有される。
一番上の黒は「診察中」。白はわからなかった。

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・coumadin
ワルファリンのこと。安心と信頼のワーファリン(ワルファリン)が、アメリカではまさか名前が変わって牙をむくとは思っておらず焦った。
 
・心電図(EKG)
なんと心電図一つとっても、アメリカと日本では全然違って驚いた。
その違いの原因としては、アメリカでは電極の色がAHAにより決定されているのに対し、日本はIEC(International Electrotechnical Comission)に従っているためである。

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V1とV2を鎖骨くらいの高さに接続していたのにも驚いたが、これは検索してもひっかからなかったので、たぶん看護師さんの我流。
また、日本では心電図の機械が独立しており、紙に印刷されたものを後から電子カルテに取り込むのが一般的だが、アメリカの心電図計(Welchallyn製)は直接電子カルテの端末に接続でき、体動の少ない瞬間の波形が自動的に記録され、データで保存される
 
・low testosterone
今日やたら見た。治療はエナント酸テストステロンの注射。
スクリーニングのための問診表があり、livido(sex drive)や勃起障害、疲労、筋力減少などの項目を評価する。
一番最後の質問が興味深かった。
Fatigue, Decreased muscle mass, Loss in muscle strength, Joint/Muscle pain, Increase in waist size, Difficulty losing weight, Decreased height, Decreased sex drive, Difficulty establishing and/or maintaining full recreations, Decrease in spontaneou early morning erections, Change in sleep patterns, Decreased mental sharpness, Trouble concentrating, Less enjoyment in person interests and hobbies
→以上についてABSENT/MILD/MODERATE/SEVEREで回答
最後に「I am ○○ years old, I feel ○○ years old」の数字を埋める。
女性のホルモン障害のスクリーニング用紙もあるようだが、そちらは今日は見なかった。
 
・ベル麻痺(Bell's palsy)
末梢顔面神経麻痺全般を指す呼称であるが、大半がウイルス性であるといわれる。
ヘルペスウイルス科が有名だが、風疹やインフルエンザなど、あらゆるウイルスで生じる可能性がある。
予後は一般に非常に良好。
典型的には、最初の症状として耳の後ろの痛みが現れ、顔の筋力が数時間以内に突然低下する
今回診た患者さんでも、初めに「首の痛み」を突然感じたという。
 
・"My PCP is Intern Med..."
今日患者さんが言っていた言葉。これを聞いてある程度理解してきたと思っていた米国の医療システムが、誤解だったのだのだろうかとわからなくなった。
かかりつけ医(PCP)は必ずしもfamily phisicianのレジデンシー出身でなくてもいいのかもしれない。
担当医はこれに対して、「内科と家庭医は同じトレーニングを受けていて、内科医は主に入院診療を、家庭医は主に外来診療を行っている、っていう違いだけやしクオリティに差はないから安心して」という旨の説明をしていたが…
 
(おまけ)
アメリカの薬局事情
今日Walgreensに行く用事があったのだが、そういえばこれも日本と全然違うなと思ったのでご紹介。
薬局はめちゃくちゃでかく(日本のスーパーくらいある)、品ぞろえも薬だけではなく日用品やドッグフード、食品など幅広い。WalgreensやCVSが代表的で色んなところにある。
またスーパー(日本のスーパーとは比べ物にならないくらいデカい)のWalmartやReasor's foodにも、薬局のスペースがあるのが一般的である。
薬局にはドライブインがあり、事前に医療機関から処方箋情報が送られており、患者は最寄りの薬局で薬を受け取ることができる(下はWalgreensのドライブインの写真)。

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