あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第四週金曜(4月26日)

・今日のabbreviations
(わからなかったのは太字)
TEE: transesophagus echocardiography
H/H: Hemoglobin & Hematocrit
H/o: History of
DC: discharge
VSS: vital signs stable
 
RLTCS: repeat low transverse cesarean section
SVE: sterile vaginal exam
BOW: bag of waters (羊膜のこと)
Anes: anesthesia
AROM: artificial rupture of membrane
SROM: spontaneous rupture of membrane
mec: meconium (胎便)
MSAF: meconium stained amniotic fluid (羊水混濁)
BTL: bilateral tubal ligation
QBL: (QBL 845mL)
VAVD: vaccum assisited vaginal delivery
BC: TBD
 
新生児用のビタミンDドロップは、walmart等でOTCで購入可能であるが、soonercareなど一部の保険ではカバーが無い
 
・circumcision
米国では、「手術によるメリットに十分なエビデンスが無く、感染などのデメリットが上回るかもしれない」と説明した上でも、宗教的な理由などにより親が希望する場合は男児の割礼(包皮切除)が行われ、家庭医もその実施を担う。
処置具の種類によりGomco/Mogen/Plastibellの3つの方法に分けられる。
これもご多分に漏れず、すべての割礼を家庭医がやるわけではなく、施設や患者の年齢等にも応じる。
一般にもう少し年齢があがり全身麻酔が必要になったりすると、家庭医ではなく小児科医や外科医が行うことが多くなるという。
生後数日の児に対して、局所麻酔だけで割礼を行っており、かつその実施件数が少なくないのは驚きだった。
今日はGomco法による割礼を見学した。

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・最終テスト
OU-TUの学生はローテの最終日なのでテストがあった。
どういった内容を家庭医療の1ヵ月のローテで学ぶことが求められているのか知りたかったので、ぜひ僕もテストを受けたいとお願いしてみたが、だめだった。
難易度は他の科のテストと比べてもかなり高いらしい(おそらく予防から治療まで、また扱う疾患分野もとても広いためである)。
テストは100問の多選択肢を3時間のCBT形式で行われ、実施を外部業者に委託しているらしい。
学期の初めにテスト受験者をすべて登録してしまい、テストが終了してブラウザを閉じるとそれ以上問題の閲覧もできないので、登録されていない部外者は受けることも内容を知ることもできなかったというわけ。
 
・その他同級生と話した実習/テストのこと
内科は週72時間勤務(?)を8週間という最もハードな実習で、学生1人で5人ほどの患者を担当する。
産婦人科と小児科は6週間ずつであり、それぞれ3週ずつ、入院をメインで診る施設と、外来をメインで診る施設に割り当てられる。
各科では必ずCBTとOSCEがあり、CBTは多くの科で110問である(Family medicineだけ100問)
OSCEの大変さは科により異なるが、特に大変なのが神経内科。3症例をこなし、2症例は練習で1症例は評価される。
たとえば深昏睡の患者さんの神経診察を10分で行い、5分で患者の家族に説明する、という課題があるらしい。
患者は毎回プロの模擬患者なので、演技がうまくとても大変らしい。

第四週木曜(4月25日)

・今日のabbreviations
(例によってわからなかったやつは太字です)
LOC: level of consciousness
STSG: split thickness skin graft
WBR: whole brain radiation
WNL: within normal limits
obs: observation (admitted to obs)
MT: metatarsal (resection of 5th MT)
LA: (WBC 14 and LA 3 - SIRS + but unclear source.)
N/V: nausea and vomitting
BM: (Has occasional BM, had episode of dark bloody stool.)
elp: electrophoresis
 
・RD
米国においては登録栄養士(Registered Dietitian)を指す言葉で、業務内容としては日本の管理栄養士に該当する。
 
・c section
帝王切開を家庭医チームが行っていた。普通にOB/GYNが担当することもあり、この病院でも全例を担当しているわけではないようだが。
おそらく帝王切開後妊娠など、比較的状況が複雑ではない症例を担当するのだと思われる。
家庭医みんなが帝王切開をする/できるわけではなく、むしろ嫌がる人もいるみたいなことを指導医は言っていた。
もしかすると勘違いかもしれないが、おそらく卵管を結紮/切除していた。帝王切開2回目なので、避妊を兼ねていたのかもしれない。
ちなみにカナダでもFamily DoctorがOBをする、とのこと。
 
なお、オペ室(といってもc secction専用の部屋だが)の様子は日本のものとそれほど大きくは変わらなかった。
術後のガーゼなどの残存の確認には、レントゲンではなく輪っかの形をした金属探知機のようなものをかざしていた。
Situate™ Detection System という製品らしく、おそらく専用の標識ガーゼを用いることで検出感度を高くしている。

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帝王切開終了後に、担当スタッフ全員がそのばでメッセージを書いたカードを渡していたのが素敵だった。
 
・ED/ER
一瞬だけ救急室に入る機会があった。
救急室は日本のように、広いスペースにベッドを並べカーテン等簡単なパーテーションを作ったものではなく、日本でいうところの観察室のような、ガラスで外から確認しやすい個室が31室ならんでいる形であった。
救急対応しにくくないのだろうかとちょっと心配になったのだが、実際のそのシーンを見る機会はなかったので、どのような動線になっているのかはわからない。
ただ、日本のような形の救急室もあるようなので、どのような形なのかは病院によるのだと思う。
 
・患者の急変
患者の急変(バイタル異常など)は、担当医に連絡が行くのではなく、チーム全体の待機室に放送がかかる形らしい。
というかそもそもこちらの医者はPHSを持っておらず、ポケットベルのような端末や自分のスマホで連絡をとっている。
 
・Marinol
合成マリファナを含む薬。米国では、食欲不振の治療薬として用いられる。
 
・破水診断
Hillcrestでは破水時の母体/胎児管理も家庭医がやっちゃう
よく混同してしまうのだが、前期破水と早期破水はべつもの。
前期破水(premature/prelabor rupture of membrane: PROM)は陣痛の開始前に破水することを指し、破水から陣痛まで6-12時間以上かかる場合には感染リスクが高まる。
早期破水は、分娩中ではあるものの、子宮口が全開大しないうちに破水することを指す。調べたけど該当する英語表現がわからなかった。
 
破水診断は偽陽性/偽陰性を避けるため複数の検査を組み合わせる。
Hillcretでは、検鏡/ニトラジン検査/視触診が組み合わされていた。
検鏡: 膣内貯留液を採取し乾燥させると、羊水中の高濃度のNaClが析出し、シダ状結晶が見られる(ferning)。偽陽性が多い。

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ニトラジン: pH指示薬のニトロジンによる検査で、羊水が混ざるとアルカリ性になるため青変する。
 
・薬の名前
米国と日本で薬の名前が違うことはしょっちゅうある。今日少し指導医との間で話題になった。
ワーファリンのことはアメリカではCoumadinっていうし、アセトアミノフェンカロナールではなくTylenolである。
あとは同じ名前でも当然ながら発音が英語になるので気付かないことがある。初めはしばらく「レーシックス」と聞いても、なんでここで眼科の話???となるだけで、まさかラシックスのことだとは思えなかった。
Levaquin(レボフロキサシン)も絶妙にわからない。
 
・ヒドロコドン/アセトアミノフェン
もっとも乱用されているオピオイドで、商品名がたくさんあって病院でもいろいろな名前を見かけてややこしい。
世界消費量の99%が米国だと言われるだけあり、それだけ市場が大きくたくさんの企業が参入しているということだろう。
最も有名なのはDr.HOUSEでお馴染みのバイコデイン(vicodin)だが、他にもNorco、Hyset、Lorcet、Lortab、Xodolなど様々なものが見られる。

第四週水曜(4月24日)

・今日のabbreviations
Trops: Troponin
Parox A fib: Paroxysmal Atrial fibrillation
gtt: guttae (滴)
AMA: against medical advice (医師の忠告に従わず帰った、等の文脈で使用)
SOB: shortness of breath
NICM: nonischemic cardiomyopathy
FFP: flesh frozen plasma
ED: emergency department? (Seen by cardiologist with initial Hgb 9, repeat in ED 8.5)
NICM: nonichemic cardiomyppathy
Tol PO-UOP: total? per os - urinary output (Tol PO-UOP appropripate)
Cont: continued
per:  ~につき、~ごとに、~によって、~を通じて、といった意味のラテン語
wound vac: wound vaccum (陰圧閉鎖療法 KCI社のV.A.C.= Vaccum Assisted Closerという機材を用いる故の呼称)
 
・MONABASH
UA/NSTEMI (Unstable Angina/Non-ST elevation MI)の初期治療のmnemonics
morphine/oxygen/nitroglycerin/aspirin/βblocker/ACEinhibirtor・ARB/statin/heparin
 
・epic-CTZ
Hillcretで使用されている電子カルテソフト。
パスワードとIDを使えば家からでもアクセス可能。OUのレジデンシープログラムのページからログインできる。
「いろんな電カルがあるけど、これが一番」と先生談。でもめっちゃシステム代が高いらしい。
 
上部には患者情報が表示される。
年齢性別などに加えて、Readmitt score(%)PCPがどこか、アレルギーの有無、Advance Directiveが済んでいるかどうか、各種医療状況(OB/GYN、Infection、Isolation、Precaution)などが含まれる。
 
サイドバーにはSummary/ChartReview/ResultsReview/ProblemList/Notes/Ordersのボタンがある。
 ‣Summary: 
vital signs、note(4月何日にこれする、とかの短いメモ)、I/O(インアウト)、Respitratory、Medicaions、Selected Labs(前回からの増減が一目瞭然)、Problem List、Chief complaint、デバイスの留置期間、今後の治療予定など予め患者ごとに設定しておいた表示項目が、付箋のように小窓で並べて表示される。かなり見やすい。
 ‣Chart review: 
各種検査類が、項目ごとに分類され並べて表示される。
 ‣Results review: 
血液検査などの結果の経過表示。これも検査の種類ごとに分類(Laboratoryresults/glucose/monitoring/cardiology/pathlogyなど)して階層表示され、簡単に切り替えられ便利
 ‣Problem List: 
表の形式になっており、簡単にプロブレムをつけ足したり消したりできる。各プロブレムの箱の中には、Dxを書く欄や、解決されればつけるチェックボックスなどがある。またプロブレムに優先順位をつけることができ自動で並べ替えられる。
 ‣Notes: 
医師やナースの全ての記録が一覧で表示される。
面白いのは、メールアプリのような感じでサムネイルが並んでおり、登録していれば記載者の顔写真が表示されることである。またnoteはそのままだと色々な内容のものがごちゃついているが、上部にタブがあり、それを押せば簡単にソートすることができる(Progress/Consults/Procedures/H&P/Discharge/Emergency/Plan of Care/Rehab/Periop/Events/Social Work/Med student/Incomplete)
 ‣Orders: 
Active/Signed&Held/Home meds/Cosign/Order Historyのタブがある。
Activeの欄では、Expired Orders/Scheduled(経口)/Continuous(点滴)/PRN(必要時)/Dietn and Nutrition(食事関係)/Repitatory(酸素吸入や人工呼吸器関係)/Lab(検査)/Nursing/Therapies(理学療法等)/Consults&Referralsなど属性ごとに分類して表示され、確認しやすい。
 
患者に関する記載の検索機能があり、めちゃくちゃに便利。たとえば"zyvox"と検索すると、linezolidも一緒にヒットする。
電子カルテ端末はシンクライアントで共有され、作業途中でも状況が保存されるため、どこの端末からでも再開可能。
 
HCC coding
Healthcare Common Procesure Coding System
プロブレムの病名の後ろに(HCC)がつく。
「Dilated acrdiomyopathy (HCC)」「NSTEMI (HCC)」みたいな感じ。
仕組みがややこしくていまいちよくわからないのだが、おそらく特定の疾患をコード付けして患者を層別化してリスク調整することで、各患者の保険料をより打倒になるよう再分配する仕組みだと思われる。
 
・frequent flyer
受診/入院が必要な病態であるとは考えられないにもかかわらず、頻回の医療行動がみられる患者のことを指す隠語。
元は特定の航空会社を頻繁に利用することで、マイルがたまりやすくなるなどの優遇が得られることを指す言葉であるが、医療現場においてはマイナスの意味を込めて使われる。
 
・米国の医師-看護師関係
看護師にも自己判断で様々な医療行為が認められる米国の医療情勢では、場合によっては良好な医師-看護師関係を築くことがより難しくなるのだな、という事例に遭遇した。
詳述は避けるが、医師が「あの看護師は患者を"殺す"ってみんなに言われている」みたいなニュアンスで話していた。
 
・opiate crisisの事情
オピオイド依存は米国では大きな社会問題になるほど深刻であり、毎年7万人がオピオイドにより命を落とすとされる。
その原因は、例えばオクラホマ州ではオピオイドの処方情報が各患者ごとに管理されているとはいえ、やはり一部のプライマリケア医などがオピオイドを安易に/大量に疼痛管理に使用してしまうためである。
オピオイドへの耐性が形成されてくると処方量が増えざるを得ず、そこに他の薬剤やアルコールなどとの相互作用が乗っかり、呼吸抑制で死に至る、という例が多い。
ヒドロコドン(半合成オピオイド)とアセトアミノフェンの合剤の鎮痛剤バイコデインが有名で、こいつが米国のオピオイド問題の立役者である。
(※コデインとバイコデインは全くの別物: コデインは日本で承認されているが、バイコデインは未承認)
 
・ナースコール
日本でもそういうところはあるのではないかなと思うが、ナースコールの端末にマイクがついていて、ナースが直接訪室しなくても要件のやりとりが可能。
 
・Ensure
エンシュア、「嚥下」にちなんだ日本製の名前なのかとてっきり思っていたのだが、普通にアメリカ産だった。
ただ日本では缶のエンシュアが一般的なのに対し、アメリカではボトルのEnsureが一般的で、パッケージも美味しそう。
もしかすると医療用医薬品の取り扱いに関する法律の違いとかがあるのかも?

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ちなみに、病院食には飛行機でたまに出てくるようなお品書きがついていて、すごいなと思った。
 
・osteomyelitis
たまたまかもしれないが、Family Medicineの担当患者にosteomyelitisの人がそれなりにいる。
心不全とか肺炎は当然すごく多いのだが、骨髄炎が複数人いるというのはちょっと驚きだった。
Family medicineで見る対象は、術後の疼痛管理や、手術を行わず/行えず抗菌薬治療で行くものがメイン。
なお、osteomylelitisは以下のようにステージングされる。

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・薬剤アレルギー
患者さんが薬剤に対するアレルギーがある場合、カルテに分かりやすく表示されるのに加え、ルートが留置されている方の腕に薬剤名の書いた赤いバンドを装着し、医療過誤を防止する。
 
・seizure precaution
けいれんの発生リスクが高い患者では、けいれんに伴う傷害の発生リスクを抑えるため病室でseizure preautionを実施され、カルテにもその旨がわかりやすく表示される。

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VRE
米国ではバンコマイシン(こちらのドクターはみんなヴァンクって呼ぶ)の利用が多く、VREもかなりの割合で見られる。
ヴァンクを処方する最大の理由はMRSA(みんなマルサって呼ぶ)のカバーだが、ヴァンクは腎毒性や聴覚障害の副作用ため、トラフ値の値を確認しないといけないから大変。
なお、米国のアンチバイオグラムには薬の名前の横にだいたいの薬価が「$~$$$$」の4段階で表示されており、面白い。また最初からコリスチンやリネゾリドなどの最終兵器のイメージがある抗菌薬が項目に含まれているのもアメリカらしいと感じた。

第四週火曜(4月23日)

<Hillcrest Medical Center>
・今日のabbreviations
LOS: lengh of stay
intract NV: intractable nausea and vomitting
B/L: bilateral
fx: fracture
BID/TID/QID: Bis/Ter/Quater in die (一日二回/三回/四回)
qD: quaue die (everyday)
CP: chest pain
MPS: myocardial perfusion scan
EP: electrophysiology
CAP: community acquired pneumonia
PNA: pneumonia
BCs: blood cultures
MIVF: maintenance intravenous fluid (維持輸液的な感じかな)
LP: lumbur puncture
wnl: within normal limits
onc: on-call
BLE: bilateral lower extremity
LLL: lefto lower lobe
d/c'd: discontinued (OHI consulted, had pt on bumex drip but d/c'd on 4/15.)
Vtach: VT
BV: bacterial vaginosis
Cx: culture
TVUS: transvaginal ultrasound
UDS +meth: urine drag screening +metanmphetamine
PVD: peripheral vascular disease
in ED: everyday
AMS: altered mental status
rec: reccomendation
p/w: presents with
 
・ナースの略称色々
米国のナースやそれに準じる資格はたくさんあり、とてもややこしい。しかも州によって異なったりする。
LPN、RN、APRN、NP、CNM、CRNA、CNSなどなど。
まず大きくLPNとRNとAPRNにわけられる。
 LPN: Licensed Practical Nurse
 RN: Registered Nurse
 APRN: Advanced Practice Registered Nurse
LPNは主に看護学士号をもち、外来など専門性の高くないプライアリケアの現場が主な活躍の場である。
RNは看護学士に加えてNCLEN-RX(National Council License Examination-Registerd Nurse)という試験に合格する必要があり、可能な仕事の範囲が広がり薬物投与や診断なども許されるため、より専門性の高い分野で活躍する。
APRNは看護修士を卒業し、もっとも専門性が高くまた可能な診療行為の範囲も広い。検査オーダーや診断、処方までも可能であり、その専門性から4つに分けられる。
 CNM: Certified Nurse Midwife
 CRNA: Certified Registerd Nurse anesthetist
 CNS: Clitical Nurse Specialist
 
・Hillcrest Medical Centerの電カル設備について
Epic社の電子カルテが用いられており、診療所と同様シンクライアントが構築されている。
個室にはそれぞれ1つずつ電カル端末が壁に備え付けられており、総室にはおなじみのぎゅんぎゅん動くカルテが一つ。
最大の特徴は、アプリがあり医者が自分のスマホからも患者データにアクセスできることだろう。
またこれも診療所と同様だが、端末から直接ネットにアクセスすることができる。このおかげで、カンファレンスルームでYoutubeを流して楽しむことができる(なぜか今日は古い曲シリーズで、何か知ってる?と聞かれたのでとりあえずビートルズをリクエストして流してもらった。笑)
 
・点滴
病室で輸液ポンプの表示を見ていたところどうも違和感があり、計算してみたところ20滴1mlではないようだった。
drop factor (gtt/mL)というものが決まっており、日本のような20gtt/mLだけではなく、10/12/15などがあるようだ。
ぼくが見たのは125cc/hrの設定で、10秒間に4滴強だったので、おそらく12gtt/mLで1時間に1500滴流れていたのだと思われる。
gttの使い分けはよくわからない。
 
・MME
morphine milligram equivalent 
オピオイドの耐用量を大幅に超えて処方されている患者さんがいて、先生方が怒ってた。
線維筋痛症にもオピオイドをばんばん出しちゃうような医者や、みたいな感じのことを言っていたと思う。
Oklahoma PMP awareでは、MMEの上限を超えている旨が赤字で表示されていたが、どうせならMMEを超える処方であれば処方できないような仕組みにできないのだろうか?
 
 
<Wound Care Clinic
普段実習をしているタルサのダウンタウン近くの診療所/病院から、約20kmほど南に行ったところにある。
正式名称は「OU Physicians South Memorial」。
wound care specialistの資格を持った医師が勤務しており、Wound Care Clinicとして稼働している。
平屋建てでいかにも診療所という感じだが、中は意外と広くモダンな雰囲気。
診察室は10くらいはありそうで、他にも処置室やレントゲン室、検査室を備える。
医師は1人。
 
・患者層
普通に家庭医療のクリニックとしても機能しているため、全員がwound careに来院するわけではない。
wound careの患者は30-45%ほど。
こちらのクリニックのドクターはfamily physicianであるため、基本的には大がかりな手術は行わないものの、デブリードマン程度であればクリニックでやっちゃうらしい。
wound careのために来院する患者の原疾患は、1位venous disease、2位diabetic、3位arterialとのこと。
今日は残念ながら1例しかwound careを見学できなかったが、そちらはうっ血性心不全に伴う血流うっ滞での下肢潰瘍であった。
 
・米国のwound care clinic
wound care clinicは米国ではそれほど珍しいものではない。
大きくwound care basedの施設と、office basedの施設に分けられる。
前者はwound careに特化した施設であり、それほど多くはない。
後者はprimary careやpodiatry(足病)など軸になる専門がありその中でwound careを行う形態で、OU physicians south memorialもこちらに属する。
 
・wound careを行う医師
Certified Wound care Specalist Physician (CWSP)という資格がある。
ABWM(American Board od Wound Management)が認定する資格で、所定のプログラムをこなすことで認定される。
wound careの分野にはレジデンシーやフェローシップがあるわけではなく、あくまで認定プログラムのみなので、実際にはこの資格を持たずともwound careを行う医師は多数おり、それゆえクオリティの差が施設間で大きいのが現状である。
CWSPの医師は多くがpodiatristであり、次いでsurgeon。family phisician出身の医師は多くない。
通常wound careにはまずPCPからの紹介が必要だが、OU physicians south memorialのドクターはfamily phisicianでありPCPも兼ねているため、wound careを自己完結させることができる
特に糖尿病や心不全など、皮膚病変を伴いやすい慢性疾患のケアにはとても有利な環境である。
 
・診察室の様子
Family Medicine Clinicと大きく変わらず、ぎゅんぎゅん動くカルテは相変わらず健在。アメリカではやっぱりこれが一般的なのかなぁ。
良いなと思ったのが、診察室のドアの横に「LAB」「FLU」などと書かれたバーがあり、医者は診察後にこのバーを立てたり戻したりする。すると次にすべき診療行為が一目瞭然でスタッフ間で共有される。
一番上の黒は「診察中」。白はわからなかった。

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・coumadin
ワルファリンのこと。安心と信頼のワーファリン(ワルファリン)が、アメリカではまさか名前が変わって牙をむくとは思っておらず焦った。
 
・心電図(EKG)
なんと心電図一つとっても、アメリカと日本では全然違って驚いた。
その違いの原因としては、アメリカでは電極の色がAHAにより決定されているのに対し、日本はIEC(International Electrotechnical Comission)に従っているためである。

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V1とV2を鎖骨くらいの高さに接続していたのにも驚いたが、これは検索してもひっかからなかったので、たぶん看護師さんの我流。
また、日本では心電図の機械が独立しており、紙に印刷されたものを後から電子カルテに取り込むのが一般的だが、アメリカの心電図計(Welchallyn製)は直接電子カルテの端末に接続でき、体動の少ない瞬間の波形が自動的に記録され、データで保存される
 
・low testosterone
今日やたら見た。治療はエナント酸テストステロンの注射。
スクリーニングのための問診表があり、livido(sex drive)や勃起障害、疲労、筋力減少などの項目を評価する。
一番最後の質問が興味深かった。
Fatigue, Decreased muscle mass, Loss in muscle strength, Joint/Muscle pain, Increase in waist size, Difficulty losing weight, Decreased height, Decreased sex drive, Difficulty establishing and/or maintaining full recreations, Decrease in spontaneou early morning erections, Change in sleep patterns, Decreased mental sharpness, Trouble concentrating, Less enjoyment in person interests and hobbies
→以上についてABSENT/MILD/MODERATE/SEVEREで回答
最後に「I am ○○ years old, I feel ○○ years old」の数字を埋める。
女性のホルモン障害のスクリーニング用紙もあるようだが、そちらは今日は見なかった。
 
・ベル麻痺(Bell's palsy)
末梢顔面神経麻痺全般を指す呼称であるが、大半がウイルス性であるといわれる。
ヘルペスウイルス科が有名だが、風疹やインフルエンザなど、あらゆるウイルスで生じる可能性がある。
予後は一般に非常に良好。
典型的には、最初の症状として耳の後ろの痛みが現れ、顔の筋力が数時間以内に突然低下する
今回診た患者さんでも、初めに「首の痛み」を突然感じたという。
 
・"My PCP is Intern Med..."
今日患者さんが言っていた言葉。これを聞いてある程度理解してきたと思っていた米国の医療システムが、誤解だったのだのだろうかとわからなくなった。
かかりつけ医(PCP)は必ずしもfamily phisicianのレジデンシー出身でなくてもいいのかもしれない。
担当医はこれに対して、「内科と家庭医は同じトレーニングを受けていて、内科医は主に入院診療を、家庭医は主に外来診療を行っている、っていう違いだけやしクオリティに差はないから安心して」という旨の説明をしていたが…
 
(おまけ)
アメリカの薬局事情
今日Walgreensに行く用事があったのだが、そういえばこれも日本と全然違うなと思ったのでご紹介。
薬局はめちゃくちゃでかく(日本のスーパーくらいある)、品ぞろえも薬だけではなく日用品やドッグフード、食品など幅広い。WalgreensやCVSが代表的で色んなところにある。
またスーパー(日本のスーパーとは比べ物にならないくらいデカい)のWalmartやReasor's foodにも、薬局のスペースがあるのが一般的である。
薬局にはドライブインがあり、事前に医療機関から処方箋情報が送られており、患者は最寄りの薬局で薬を受け取ることができる(下はWalgreensのドライブインの写真)。

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第四週月曜(4月22日)

<Hillcrest Medical Center>

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・Family Medicine病棟実習の流れ
6:30頃に集合して、5人くらいで7:30頃まで病棟の夜勤医からの引継ぎ
8時過ぎまで朝ご飯、そのあと1時間半くらい各レジデントで回診
10時ごろにチームで再集合してカンファ(レジデントの教育の場を兼ねて指導医からの質問や、ポートフォリオ的な診療へのフィードバックを交え進む)
カンファ室には人数分電子カルテがあり、UpToDateにもアクセス可能。大きなモニターにUpToDateを映せるので、教育にも使われる。
 
・カルテの記載方式
SOAP的な感じだと思うんだけど、IPASが何の略かわからなかった。他にもわからない略語がたくさんあり、今日出てきたものを末尾に纏める。
I: stable
P: たぶん現病歴
A: フォローアップについて書かれる
S: コンサルトや、指示など。
Rm/Bd、LOS: 2 attending
 
・Family Medicineの担当病棟
OUFM impatientとOUFM OBに分かれており、前者8人と後者5人(いずれも39-40週で正期産の子供か妊婦)。
Hillcrest Hospitalの本館から、Heart InstituteやWomen Health Centerにまで患者さんが散らばっているため回診が大変。
スタッフは上級医2人とレジデント2人で、一番上の上級医は患者を持たず、残り3人で患者を担当。おそらく主治医制。
レジデントは15日毎に交代、上級医は日によって病院にいたり外来にいたりで、行ったり来たりしている模様。
 
・病院家庭医の守備領域
心不全などでも特に病態がややこしくなっている人、妊娠/出産で比較的正常な人、などいろいろ。
今日診た人だと、心不全急性増悪、火傷、CNSのリンパ腫、AKI、骨髄炎、正常分娩など。
先週実習してた同級生によると、割礼も家庭医がやっちゃうらしい。
 
・病室の特徴
病室の広さは日本の1.5-2倍くらいで、基本個室。総室があっても1室2人程度がMaxらしい。
病室のドアは開けっ放しのことが多い。
ナースステーションもかなりオープンで、普通に患者さんが中を通れてしまいそうだった。
各病室の前にアル綿が備え付けられており、聴診器の消毒をする。
病室に1人ずつ大きなホワイトボードがあり、ここに患者情報や医療スタッフへの質問欄、痛みのフェイススケール、患者の母国語"Today's goal"  転倒リスクなどを記入する欄がある。転倒リスクがHighの場合、病室の前に流れ星が貼られる。
患者さんの休憩室に普通にコカ・コーラの自販機があるのはどうかと思うが。

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・スタッフ同士の相互評価
お昼時にスタッフ同士(レジデントだけでなく上級医含む)がお互いの診療態度などを評価しあうミーティングがあった。といっても批判的なものではなく、建設的な意見が多かった印象。
チームワークを高めるために定期的に行われているが、家庭医療プログラムに普遍的なものというよりは、OUのプログラムに特徴的なものらしい。
 
・Language Line Hospital
母国語がスペイン語の患者さんを診察する際、医者がスペイン語を喋れない場合はコチラを利用する。
病院内に翻訳者が待機しており、自分のスマホで電話をかけハンズフリーにして通訳が可能である。
 
・新生児とビリルビン
健康な新生児では、およそ 40%は生後24時間の時点で総ビリルビンが 5mg/dL、36時間までに7mg/dL になる。

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・新生児のルーチン診察
まずは胸部と腹部の聴診: 泣かないうちに
頭蓋: 大泉門
目: ペンライトだと反射がまぶしすぎるので、眼底鏡で代用するといいらしい
耳: 奇形や位置異常がないか
口: 小指を入れ、吸啜反射、硬口蓋の確認
鎖骨: 分娩時の骨折の頻度が最も高いため確認
上肢: 指の数、把握反射、腕だけ上に引き上げてモロー反射
腹部: 腫瘤が触れないか
鼡径部: ヘルニア
生殖器: 男児は頑張って精巣の触診、女児は視診
肛門: 鎖肛の確認、蒙古斑
股関節: 大腿骨の両端を掌でしっかり押さえて児に向かって押し、クリック音の有無を確認(先天性股関節脱臼)。その後片側ずつ可動域確認
背部: 脊柱を上から順に触診
その他反射: Babinski、歩行反射、開眼しているなら前庭眼反射
 
てんかん重積とレベチラセタム
アメリカではてんかん重積の第一選択はロラゼパムのようだが、最近レベチラセタムの方がいいんじゃないかってなってるらしい。
 
・OBに関する略語
24hrTCB (HRZ): Transcutaneous Billirubin 
24h/36h TSB (HRZ): Total Serum Billirubin
Rh+/rubella immune GBS
ROM: intact: Rupture of Membrane
Anes: epidural: anesthesia
BC: nexplanon: Birth Control
HRZ/HIRZ/LIRZ/LRZ High/Low (Immediate) Zone
 
・そのほか略称
(カルテ上で怒涛のように出てきた略語をすべて記載、わからなかったものは太字にしているのでもしわかる方いらっしゃれば教えてください)
RHC: Right Heart Catheter
NPO: nil per os (nothing by mouth)
CM:   (CM states that pt needs to get FMLA paperwork fom his job and then bring it to hi PCP for completion)
FMLA paperwork: Family and Medical Leave Act
CXR: Chest Xray
IVF: in vitro fertilization
BSA: Body Surface Area
PRN: pro re nata (as needed)
PO -UOP: Urinary Output
s/p: status post (≒after)
per ID: (Vanc/Zosyn started 4/8×6 weeks, per ID)
AKA: abobe the knee amputation
EGD: esophagogastroduodenoscopy
LTAC: Long-term Acute Care
MPOA: Clarissa(Sister, MPOA)
LE u/s lower extremity ultrasound
w/: with
IDDM: Insulin Dependent DM
p/w: presents with
1L NS in ED, ordered mlVF
CMP: Comprehensive Metabolic Panel (Blood Test)
MDRO: Multi Drug Resistant Organisms
UA-: (Abdominal UA- pt is asymptomatic)
Abx: Antibiotics
HCAP: Health Care Associated Pneumonia
Gtube: Gastrostomy Tube
Jtube: Jejunostomy feeding tube
 
<Tandy YMCA>

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・Tandy YMCAの設備
アメリカではYMCAが健康増進に貢献する目的でスポーツジムのような設備を運営していることが多いようで、タルサでも立派なスポーツジムがある。(Tandyは例にもれず石油系実業家の名前)
一階にはプールなどがあり、二階にはジムやボルダリングに加え、Sports Medicineのクリニックがある。
ドクター曰く、Sports Medicineで急性期の筋骨格系の問題を診察/管理し、そのまま同クリニック内やジム/プールでphysical therapyを行い、そこから自主的なジム利用などによる健康維持/増進につなげていくという設計思想のようだ。
 
・Tandy YMCA Sports Clinicの設備
診察室は6つあり、各診察室に電子カルテの端末が無い以外は、Family Medicine Centerと大きくは変わらない。
特徴的なのは巨大なPhysical Therapyのためのスペースと、トレッドミルを用いた各種精密試験が行えるHuman Perforance Laboratoryである。
Human Performance Laboratoryでは、歩行の問題を様々な方向から撮影・分析したり、運動処方の強度を決めるために使われたり、嫌気性代謝閾値を調べたり、心電図を装着してストレステストに用いたり、アスリートの訓練に活用されたり、さまざまな用途がある。
この検査自体は保険でカバーされるわけではないが、それを医者が監督する、相談する、という行為に対しては保険が効くことがあるらしい(アメリカの保険の仕組み全般の話として、おそらく検査itselfに個別に適応が決まっているわけではないんだよ、という主旨だったと思われる)。

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・Tandy YMCA Sports Clinicの患者層
Family Mecine Center 2階のSports Clinicと、あまりかわらない。
ただ、Family Medicine Centerの方では疼痛管理がメインの患者が多いのに対して、こちらはよりスポーツ医学/整形内科的手技の割合が高いようだ。
 
アメリカの専門医制度とSports Medicine
レジデンシーとしては存在せず、フェローシップで選択することになる。
8-9割が家庭医療レジデント出身だが、内科/小児科/ERからも選択可能。
全米に200ほどフェローシップがあり、学会は4000人くらい。
 
・Physical Therapyの処方
Sports Medicineは「筋骨格疾患をnon-surgeryで治す仕事」である。
90%はphysical therapyで治るとされ、非常に重要な立ち位置を占める治療法である。
医師がPhysical Therapyを処方する場合、決めるのは大体の頻度や強度など、おおまかなところだけである。
具体的な内容を決定するのは療法士であり、仮に同じ処方であってもセラピストが違えば違う内容になりうる
ただ、医師が「プールセラピーにして下さい」みたいな形で具体的に提案することも可能。
 
・Physical Therapyと保険
通常、多くの保険ではPhysical Therapyのカバーがあり、かつそれはどこで行っても構わない。
しかしMedicare/Medicaid/Soonercare(オクラホマ州の公的保険)では、病院(St.John/Saint Francis/Hillcrest)で行われるものしか対象にならず、Tandy YMCAのような民間施設で行われるものは対象外となる。
これは、大病院は病院内で完結するシステムを持っており、コストコトロールが容易で比較的コストを低く抑えられるからだといわれている。
また、一般的に同じPhysical Therapyであっても、民間施設で行われるものの方が質が高いとされる。
 
・医師のレビュー
Googleで医師の名前を検索すると、口コミと☆5段階のレビューが表示される
「同じ治療であれば、どこで誰がやってもその結果は同じだ」という暗黙の了解の元に成り立つ日本の医療制度の上ではまずあり得ないことで、地味ながら感動した。
 
・関節内注射ステロイドの使い分け
関節内注射では、だいたいトリアムシノロンとリドカインを混ぜて注射している。
トリアムシノロンを使うことがほとんどだが、トリアムシノロンは使う前に結晶と溶媒を混和して使う薬剤のため、小関節では(血症が析出しやすい可能性があるため?)あまり好まれない。
手などの注射では、代わりにセレストン(ベタメタゾン)が用いられる。
 
・bursa injection
滑液包に注射するもの。
薬剤は、関節注射で用いるトリアムシノロンとリドカインに加え、より作用時間が長いブピバカインを混ぜる。
これは、ブピバカインは軟骨障害作用を持ち関節注射には使えないためである。
 
・carpal tunnel night splint
手根管症候群で装着するサポーターのこと。
手首の過伸展/過屈曲を防止する。
 
・関節内注射の位置
膝の外側から、膝蓋骨・膝蓋腱・大腿骨・脛骨という硬い組織に囲まれた、触って柔らかい部分を注射する。

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第三週金曜(4月19日)

・Student Academy
OU-TU School of Community Medicineの特徴あるプログラムの一つ。
1ヵ月に一度、ローテ中の科に関わらず全ての学生(MD過程/PA過程共に)がキャンパスに集まり開催される。9時から2時半ごろまで。
内容は各疾患/分野のレクチャーのこともあれば、「implcit bias」「ACEs」など、より概念的だが診療の核になる内容が扱われることもある。後者はまさにFamily Medicineって感じでとてもいいと思う。
 
・今月の内容
テーマは「difficult patients」。
9:00-12:00 小グループでOSCE形式の症例検討
12:00-13:00 Grand Debriefing ランチしながら全体統括
13:00-14:00 希望者のみ、OU-TUレジデンシープログラムの説明と質疑応答(Psychiatry, Family, Ped, OB/GYN, internal, surgery)
 
時間配分は月ごとに異なり、OSCE形式のこともあればレクチャーだけのこともあるし、毎月レジデンシープログラムの説明があるわけではないとのこと。
 
・症例検討

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7人の小グループ7つに分かれて行う。各グループにファシリテーター(精神科医など)がつく。
まず学生1人が模擬患者さん1人と5-10分程医療面接を行い、その後見ていた学生やファシが意見をフィードバックする。
全部合わせて1セッション25分程。
症例は7例なので、1人1例ずつ必ずあたるようになっている。
 
・7 difficult patients
<症例①>
生活習慣(特に飲酒習慣)に関して指摘したら「若いお前に何がわかるねん」みたいに怒り出す患者さん
<症例②>
1歳の子供にワクチンを断っている親「この子は元気だから大丈夫だ」「予防接種は自閉症の原因になる」「私の元気な子供を、副作用で神経障害やてんかん、死のリスクにさらしたくない」
(友だちの娘がワクチン接種後に脳症になったという設定で、その子の写真まで用意していた)
<症例③>
皮膚がんと診断されて(疑いだけかも?)、無保険
<症例④>
新規発症うつ病、自殺企図あり、家族関係がうまくいっていない、途中で立ちあがり帰ろうとする
<症例⑤>
大学のオーナーかなんかのVIP(模擬患さんの服装もゴージャスだった)、症状はウイルス性上気道炎ぽいが「忙しいので急いでるから早く抗菌薬出せ」「明日からギリシャに旅行に行くので早く出せ」「お前はPAだろう、MDを出せ」
→「Dr.○○に言いつけるぞ!」的な感じで怒って退室
<症例⑥>
(イマイチよくわからなかったが)たぶんオピオイド依存。背部痛に前医で診断不十分のままオピオイドが出てて、依存もあるので治療方針を替えたい? なんかめっちゃ貧乏ゆすりしてイライラ早口だったので聞き取れず。
<症例⑦>
症状自体は軽症なんだけど、趣味とか医者の個人的なことを色々聞いてくる患者。医者に対して「綺麗な目をしてますね」「一緒にハイキングに行こう」「私の踵のことはもういいから」とかやたら距離を詰めようとしてくる。いわゆる陽性転移的な感じかな。(LGBTとも関連してるのかも)
 
模擬患者さんの演技は迫真で、毎年開催しているため慣れていてとても上手い。
怒っている患者さんの時など、あまりの剣幕に目に涙を浮かべる学生さんもいた。あれは僕でも泣くと思う。
 
・Grand Debriefing

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ご飯やスイーツをケータリングしながら、ラウンジで行う。
学生だけではなく、ファシリテーターの先生や模擬患者さんまでも一緒に机を囲む
食費は全部大学もちらしい。
 
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OU-TU School of Community Medicineのシャツとジャケットを頂きました。
ミーハーなのでとっても嬉しい。
あと1週間、頑張ります!
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第三週木曜(4月18日)

・Sports Clinicの様子
Family Medicine Centerの2階にある(1階は昨日まで実習してたFamily Medicine Clinic)。
診察室の様子はFamily Medicine Clinicと変わらない。医者は1人、ナースが3人、診療補助員1人の体制か。
診察室はざっと見た感じ10以上ありそうだったけど、全然使ってない。
同フロア内にレントゲン撮影室があるため、撮影のハードルは低い(おそらく看護師さんが撮ってる)
 
・Sports Clinicの患者層
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Sportsというのだからスポーツ選手を見るのかなと思っていたが、全然そんなことはなく普通の患者さんばかりである。
パンフレットには「アスリートでなくても診ます」「筋骨格系の症状のある方なら"weekend warrior"から"industrial athlete"まで、どなたでも診ます」と書かれていた。
患者さんは1日20人弱。みんな筋骨格系の問題や慢性疼痛などの患者さんである。
脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、OAが多かった。
Family Medicine Clinicよりは当然患者の年齢層は高めで、子供はスポーツ中のケガとかでない限りほとんど来ない。
あとなぜか患者さんは9割ほどが女性だったのだが、それは今日たまたまだとのこと。
 
・Sports Medicineの制度上の立ち位置
Sports Medicineはレジデントシーとしては認められておらず、出身の先生方は内科や家庭医療などの様子。
フェローシップとしてはSports Medicineが存在している。
アメリカ家庭医療学会では、救急学会、内科学会、小児学会、リハビリ学会と共同して、Sports Medicineのドクターの認定制度を運営している。
いわゆるサブスペシャリティ的な立ち位置みたい。
 
・Family Medicineとの関係
Sports Clinicは、原則患者をfirstでみることはなく、家庭医や救急医からのコンサルを受ける形である。
特に、筋骨格系の問題だが手術適応ではなさそうな場合、にコンサルトが回ってくることが多いらしい。
Family Medicine CenterにSports Clinicが設けられているのも、プライマリケアにおける患者の約30%が筋骨格系の問題である、といわれることに由来する。
ただし全米でもこのようにFamily MedicineとSports Medicineの専門家がそれぞれ在籍し同施設内で診療を行っているというケースはそれほど多くなく、これはそもそもSports Medicineのフェローシップがまだまだ不足していることに起因する。
Sports Medicineへのコンサルトを受けられないような地域では、同領域は主に整形外科医が担うことが多い。
 
・Sports Clinicとアスリート
Clinicで現役のスポーツ選手を診る、という機会はあまりないが、野球などいくつかのスポーツチームと提携を結んでおり、医者が赴いて選手の診察をするらしい。
 
・Sports Clinic医学生教育
OU-TUでは、Famiy Medicineは必須であるのに対し、Sports Clinicは選択性である。
大体毎年10-15人くらいが回ってくる (1学年は約30人)
 
・Physical Therapyと保険カバー
訊いてみたけどよくわからんかった。
St.Johnなど病院が保険の主体でもある場合は、その病院で行われるphysical therapyがカバーされている場合が多い。
Sooner Care(オクラホマ州の公的要素が強い保険)でも、病院ベースのphysical therapyがカバーされている。(?)
Tandy YMCA(後日述べる)などのスポーツジムのような形の施設でのphysical therapyは、単純な利用であれば保険に関わらず会員になれば利用可能であるが、専門的なphysical therapyはカバーされておらず、別物として捉えるべき。
 
・関節内注射
トリアムシノロンとブラジキニン????(絶対聞き取り間違い)の混和剤を注射していた。
変形性関節症疑いに対する診断的治療?
膝を曲げてもらい、patellarの下側やや外側から注射する。
ちなみにこちらでは、注射する部位をマーキングするのに、芯を出していない状態のボールペンを押さえつけて跡をつけるのが一般的。
 
・Dragon Medical One
ディクテーションソフトであり、スマホアプリを介してカルテの音声入力を行う。
医療用にアレンジされているため、単語の表示はかなり正確な様子だった。
 
・ナプロキセン
ナプロキセンはこちらでは鎮痛剤としてよく処方されているイメージだが、小児においてもNaprosynがよく利用される。
小児用Naprosynはチュアブルになっていて、オレンジやパイナップルの味がついてるらしい。
 
スマホで打鍵
今日の指導医はスマホで腱反射を見てて笑いそうになってしまった。
こちらの家庭医は打腱器を使ってはいけないという決まりでもあるのか?
使ってるところみたことない。
 
・Sooner Ride
Sooner Careの提供元(Oklahoma Health Care Authority)が実施するサービスで、Sooner Care受給者が該当の医療さーすを受診する際、平日と土曜の7-18時、予約しておけば病院まで車で送ってくれる。救急には対応不可。
また、Sooner Careの承認を受けた医療サービスを受けるのに1泊以上が必要な場合、送迎だけではなく宿泊施設や食事の補助がつく。
 
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今日でFamily Medicine Centerでの実習は終了です。
明日は1日中大学で座学、来週はFamily Medicine Center以外でのいくつかの施設で実習になります。
とても刺激になる3週間でした!

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