あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第四週水曜(4月24日)

・今日のabbreviations
Trops: Troponin
Parox A fib: Paroxysmal Atrial fibrillation
gtt: guttae (滴)
AMA: against medical advice (医師の忠告に従わず帰った、等の文脈で使用)
SOB: shortness of breath
NICM: nonischemic cardiomyopathy
FFP: flesh frozen plasma
ED: emergency department? (Seen by cardiologist with initial Hgb 9, repeat in ED 8.5)
NICM: nonichemic cardiomyppathy
Tol PO-UOP: total? per os - urinary output (Tol PO-UOP appropripate)
Cont: continued
per:  ~につき、~ごとに、~によって、~を通じて、といった意味のラテン語
wound vac: wound vaccum (陰圧閉鎖療法 KCI社のV.A.C.= Vaccum Assisted Closerという機材を用いる故の呼称)
 
・MONABASH
UA/NSTEMI (Unstable Angina/Non-ST elevation MI)の初期治療のmnemonics
morphine/oxygen/nitroglycerin/aspirin/βblocker/ACEinhibirtor・ARB/statin/heparin
 
・epic-CTZ
Hillcretで使用されている電子カルテソフト。
パスワードとIDを使えば家からでもアクセス可能。OUのレジデンシープログラムのページからログインできる。
「いろんな電カルがあるけど、これが一番」と先生談。でもめっちゃシステム代が高いらしい。
 
上部には患者情報が表示される。
年齢性別などに加えて、Readmitt score(%)PCPがどこか、アレルギーの有無、Advance Directiveが済んでいるかどうか、各種医療状況(OB/GYN、Infection、Isolation、Precaution)などが含まれる。
 
サイドバーにはSummary/ChartReview/ResultsReview/ProblemList/Notes/Ordersのボタンがある。
 ‣Summary: 
vital signs、note(4月何日にこれする、とかの短いメモ)、I/O(インアウト)、Respitratory、Medicaions、Selected Labs(前回からの増減が一目瞭然)、Problem List、Chief complaint、デバイスの留置期間、今後の治療予定など予め患者ごとに設定しておいた表示項目が、付箋のように小窓で並べて表示される。かなり見やすい。
 ‣Chart review: 
各種検査類が、項目ごとに分類され並べて表示される。
 ‣Results review: 
血液検査などの結果の経過表示。これも検査の種類ごとに分類(Laboratoryresults/glucose/monitoring/cardiology/pathlogyなど)して階層表示され、簡単に切り替えられ便利
 ‣Problem List: 
表の形式になっており、簡単にプロブレムをつけ足したり消したりできる。各プロブレムの箱の中には、Dxを書く欄や、解決されればつけるチェックボックスなどがある。またプロブレムに優先順位をつけることができ自動で並べ替えられる。
 ‣Notes: 
医師やナースの全ての記録が一覧で表示される。
面白いのは、メールアプリのような感じでサムネイルが並んでおり、登録していれば記載者の顔写真が表示されることである。またnoteはそのままだと色々な内容のものがごちゃついているが、上部にタブがあり、それを押せば簡単にソートすることができる(Progress/Consults/Procedures/H&P/Discharge/Emergency/Plan of Care/Rehab/Periop/Events/Social Work/Med student/Incomplete)
 ‣Orders: 
Active/Signed&Held/Home meds/Cosign/Order Historyのタブがある。
Activeの欄では、Expired Orders/Scheduled(経口)/Continuous(点滴)/PRN(必要時)/Dietn and Nutrition(食事関係)/Repitatory(酸素吸入や人工呼吸器関係)/Lab(検査)/Nursing/Therapies(理学療法等)/Consults&Referralsなど属性ごとに分類して表示され、確認しやすい。
 
患者に関する記載の検索機能があり、めちゃくちゃに便利。たとえば"zyvox"と検索すると、linezolidも一緒にヒットする。
電子カルテ端末はシンクライアントで共有され、作業途中でも状況が保存されるため、どこの端末からでも再開可能。
 
HCC coding
Healthcare Common Procesure Coding System
プロブレムの病名の後ろに(HCC)がつく。
「Dilated acrdiomyopathy (HCC)」「NSTEMI (HCC)」みたいな感じ。
仕組みがややこしくていまいちよくわからないのだが、おそらく特定の疾患をコード付けして患者を層別化してリスク調整することで、各患者の保険料をより打倒になるよう再分配する仕組みだと思われる。
 
・frequent flyer
受診/入院が必要な病態であるとは考えられないにもかかわらず、頻回の医療行動がみられる患者のことを指す隠語。
元は特定の航空会社を頻繁に利用することで、マイルがたまりやすくなるなどの優遇が得られることを指す言葉であるが、医療現場においてはマイナスの意味を込めて使われる。
 
・米国の医師-看護師関係
看護師にも自己判断で様々な医療行為が認められる米国の医療情勢では、場合によっては良好な医師-看護師関係を築くことがより難しくなるのだな、という事例に遭遇した。
詳述は避けるが、医師が「あの看護師は患者を"殺す"ってみんなに言われている」みたいなニュアンスで話していた。
 
・opiate crisisの事情
オピオイド依存は米国では大きな社会問題になるほど深刻であり、毎年7万人がオピオイドにより命を落とすとされる。
その原因は、例えばオクラホマ州ではオピオイドの処方情報が各患者ごとに管理されているとはいえ、やはり一部のプライマリケア医などがオピオイドを安易に/大量に疼痛管理に使用してしまうためである。
オピオイドへの耐性が形成されてくると処方量が増えざるを得ず、そこに他の薬剤やアルコールなどとの相互作用が乗っかり、呼吸抑制で死に至る、という例が多い。
ヒドロコドン(半合成オピオイド)とアセトアミノフェンの合剤の鎮痛剤バイコデインが有名で、こいつが米国のオピオイド問題の立役者である。
(※コデインとバイコデインは全くの別物: コデインは日本で承認されているが、バイコデインは未承認)
 
・ナースコール
日本でもそういうところはあるのではないかなと思うが、ナースコールの端末にマイクがついていて、ナースが直接訪室しなくても要件のやりとりが可能。
 
・Ensure
エンシュア、「嚥下」にちなんだ日本製の名前なのかとてっきり思っていたのだが、普通にアメリカ産だった。
ただ日本では缶のエンシュアが一般的なのに対し、アメリカではボトルのEnsureが一般的で、パッケージも美味しそう。
もしかすると医療用医薬品の取り扱いに関する法律の違いとかがあるのかも?

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ちなみに、病院食には飛行機でたまに出てくるようなお品書きがついていて、すごいなと思った。
 
・osteomyelitis
たまたまかもしれないが、Family Medicineの担当患者にosteomyelitisの人がそれなりにいる。
心不全とか肺炎は当然すごく多いのだが、骨髄炎が複数人いるというのはちょっと驚きだった。
Family medicineで見る対象は、術後の疼痛管理や、手術を行わず/行えず抗菌薬治療で行くものがメイン。
なお、osteomylelitisは以下のようにステージングされる。

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・薬剤アレルギー
患者さんが薬剤に対するアレルギーがある場合、カルテに分かりやすく表示されるのに加え、ルートが留置されている方の腕に薬剤名の書いた赤いバンドを装着し、医療過誤を防止する。
 
・seizure precaution
けいれんの発生リスクが高い患者では、けいれんに伴う傷害の発生リスクを抑えるため病室でseizure preautionを実施され、カルテにもその旨がわかりやすく表示される。

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VRE
米国ではバンコマイシン(こちらのドクターはみんなヴァンクって呼ぶ)の利用が多く、VREもかなりの割合で見られる。
ヴァンクを処方する最大の理由はMRSA(みんなマルサって呼ぶ)のカバーだが、ヴァンクは腎毒性や聴覚障害の副作用ため、トラフ値の値を確認しないといけないから大変。
なお、米国のアンチバイオグラムには薬の名前の横にだいたいの薬価が「$~$$$$」の4段階で表示されており、面白い。また最初からコリスチンやリネゾリドなどの最終兵器のイメージがある抗菌薬が項目に含まれているのもアメリカらしいと感じた。