あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第一週木曜(4月4日)

(ご意見ご質問や、オクラホマで確認してきてほしいことなど、ございましたらなんでもコメント等にお寄せ下さい!)
 
・レジデントのquiz
朝行われ、A4一枚で、今日のは症候学に関するものだった。Unintentional Weight Lossに関する選択肢式の問題群。
それに関して終了後レジデントと上級医でディスカッション。
 
オクラホマの気候(タルサ)
オクラホマ、特にタルサでは「今の天気が気に入らなかったら5分待て」とジョークにして言われるほどに変わりやすい。
砂漠のように乾燥した台地が広がって毎日カンカン照りなのかと勝手にイメージしていたが、快晴で乾燥して砂がめっちゃ飛んでくるなぁと思っていたら、次の日には嘘のように大雨が降るし、風が吹けば竜巻が多い地域なだけあってとても強い(OKCにいる同級生は風が強くて停電したと言っていた)。なかなか大変な気候である。
 
・Botox Training Course
毎年?ラスベガスで開かれているPhysician向けの勉強会で、面白いらしい。
午前にレクチャー、午後に実際の患者さん/ボランティアに対する治療ハンズオンが行われる。
文字通り本物のボツリヌストキシンを使って注射の練習をする。
これもある意味Bedlamと一緒で、参加者にとっては無料でボトックスを受けられるというメリットが提供されている。
 
・肩の診察
Range of motion/Impingement signs/Strengthの3つのポイントで診察する。

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Speed's testは二頭筋腱損傷に対して特異度が高く有用な診察法である。

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Popye signは完全な断裂の際に生じ得るが、部分的な損傷であれば生じない。
Xpは骨の圧痛が無いと判断し施行せず。
 
運動療法と保険
運動機能の負傷に対しては運動療法が適応になる場合があるが、その場合Family Medicine CenterがもつSports Medicineの部門が見れるかどうかが保険により異なるらしい。
SoonerCare(比較的よく見かけるものの1つ)ではSports Medicineの保険カバーがある。
 
・皮膚インプラントnexplanonによる避妊法
UIDに比べて、PIDのリスクが無いという点が極めて大きい。
エトノゲストレル(プロゲステロン)を放出する。
生検針のようなデバイスで、局所麻酔下に上腕の皮下に挿入する。
米国ではかなりcommonなようだが、日本では未承認。

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・伝染性軟属腫(molluscum contagiosum)
ポックスウイルス科のモルスキポックスウイルスによる。
小児に好発し、中心にdimpleをもつ野が特徴。免疫低下した成人にも起こる。
小児では顔面/体幹/四肢、成人では外陰部など。
無治療でもいいが、6-12ヵ月ほど残る。
 
・Family medicineのclerkshipとレクチャー
Family medicineのclerkshipには、外来業務の合間を縫うように各種レクチャーが設定されている。
レクチャーはDM等の疾患各論から予防医学、家族計画に関するものなど。
授業風景は日本のポリクリで見られるような少人数授業と変わらないが、パワーポイントは使われないことが多い。
先生が学生に質問を投げかけると、ほぼ全員が打てば響くようにすぐ回答するのが印象的。
ただ、レクチャーの中には15km程離れた別の病院に移動しなければならないこともあり、大変そう。
後日書こうと思っているのだが、OU-Tulsaの授業はすべてOKCキャンパスとネット中継されていた。そのようにこれもビデオ会議で行えないのだろうか?
 
・St. John病院とSaint Francis病院
Tulsaには大きな総合病院として、St. John, Saint Francis, Hilcrestの3つがあるが、特に前者2つはかなり対照的。
St. Johnは全米でも珍しいほどにチャリティーが盛んであり、Bedlamでみた無保険者の患者を紹介した場合、無料で治療対象となる場合がある。
一方Saint Francisは学生からも人気のある病院だが高所得者をターゲットに運営されており、Bedlamから患者を紹介しようとすると、断られることすらある。
 
・民間保険と治療選択
保険の種類により治療選択が変わることはやはりあるみたい。
話を聞いた例では、重症の乾癬にモノクローナル抗体治療を行いたかったができなかったとのこと。
加入する民間保険は職業により規定されることが多く、「この治療ができないからこちらに」と好きに別の保険にのり変えるたりできるものではない
外科では比較的手術選択が保険により規定されることは少ないが、それでもたまに外科医が保険会社の人と交渉しているのをみることがある。
 
・Bedlam E(=evening)
Bedlamは時間帯で2つに分かれている。
Eveningは18:00-20:30くらいで、だいたい学生1人当たり2-3人の患者をみる。
サマリーの記入まで含めてすべて学生がするので、終わるのはだいたい21時を回る。
 
・Warren clinicのFamily Medicine診察室
レクチャーのために別の病院のFamily medicineに行く機会があり、ちょっとのぞいたけどそんなに構造は変わらない。
やはりドアが一つだけで、ギュンギュン動く電カルアームに関しても同じ。
 
・吸入インスリン(Afrezza)
日本では未承認の吸入による速効型インスリン。肺表面から吸収される。
インスリン自己注射に比べて簡便であり、また注射を恐れる患者に対しても利用できるというのが最大のメリット。
しかし一方で、喘息やCOPDの患者に対しては利用できない。
ちなみに、経口インスリンの開発も進んでいるらしい。

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ApeX(Advance Patient-Centered Excellence)の電カルが最も一般的であるが、日本と同じく様々な種類のものがあり、全く統一されておらずPMHの情報収集等で困ることが多い。
カルテ情報の統合に関しては、国単位どころか州単位でも統合されているところはなく、オクラホマでも一部で都市単位に行われているのみに留まる。
タルサではMyHealthというサービスが医療情報の統合をサポートしている。
 
・救急車
救急車を呼ぶのは有料だが、(タルサだけなのかは不明だが)市の予算により、住宅の購入時や賃貸の際に救急車費補助が付与されている。
米国では医療への最初の入口は原則ERかfamily phisicianのみである。日本でも適切なトレーニングを受けたFamily Phisicianが増えて同様の機能を果たしてくれることを願うばかりである。
 
髄膜炎菌ワクチン
渡米時に自費(約2万円)で接種するかを悩んだ髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ)だが、欧米では公的補助がある。
12歳に1度接種が義務付けられ、16歳で2度目が推奨されている。