あるねぶのFamily Medicine留学メモ

留学で見たものをまとめました。ただのメモなので、読みにくく申し訳ありません。

第三週火曜(4月16日)

・OSCE概要
アメリカのOSCEで、国家レベルで行われるものはUSMLE STEP2 CSである。
これは模擬患者さん一人当たり25分(診察15分記録10分)を12人分行う形式であり、休憩時間も込みで8時間のぶっ続けで行われる。
この形式に順じ、各大学内でも練習を兼ねてOSCEが行われるが、頻度などは大学により様々。
OU-TU School of Community Medicineでは素晴らしい設備のシミュレーションセンターがあるため、各科のローテーション中にほぼ必ず一度OSCEが行われる。(つまり1-2ヵ月に1度の頻度でOSCEがある計算になる)
基本は模擬患者さんを呼んで行うが、小児科の場合は実際の患者さんらしい。(Bedlamのような形で、診察を無料にする代わりに協力してもらえないか家族にお願いするとのこと)
どの科でも基本は25分を単位にして行われるが、その配分は内容により異なる。例えば精神科は25分全て問診、神経内科は25分全て問診+身体診察で記録なし、など。
 
・Simulation Center

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今日の予定はこんな感じで、Family medicineのOSCEは8:30から1時間半行われた。
ちなみに午後1時からは1年生の「SPBL」が入っている。
これは、Standalized Patient Based Learningの略で、腹痛や頭痛などの比較的典型的な症例に関して、模擬患者さんを複数人の学生で診察する形で学ぶものらしい。面白そう。
 
・Family medicineのOSCE概要
Family medicineのOSCEでは、「musclocskeltal」と「counseling」の2ステーションが行われる。
症例は毎回変わるが、分野の割り当ては同じ。
Family medicineがmuscloskeltalの担当になっていることが興味深かったが、これはOU-TUに整形外科が無く、またアメリカの整形外科はより手術に特化しているため、いわゆる整形内科的な領域の多くをFamily medicineが担っていることが背景にある。
 
・SP(Standalized Patient)
今日の模擬患者さんは4人。
日本のようなボランティア制ではなく職業として確立されており、しっかり給料が出る。
調べたところ、年収は平均4万ドルくらいらしい。
 
・OSCEの流れ
1ステーション当たり25分。
今回の学生参加者は6名、SPは2名ずつ×2ステーションの4人であるため、3サイクル行い各学生は2サイクルに参加、1サイクルは休憩という形。
診察室のドアの書類入れに症例の概要が伏せておいてある。
名前・年齢・性別・バイタルが記入されており、25分間ですべきことの指示が書いてある(この内容は日本のように「○○の身体所見を取れ」のような具体的なものではなく、診察内容は自分で考える必要がある)
25分の開始が告げられると、まずこの書類を裏返して確認するところから始まる。
 【課題の確認中の様子】

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読み終えれば、B5のメモ用紙1枚をもって各々のタイミングでノックして診察室に入る。
この時、診察室に入る前にメモ用紙に病歴や所見などの記入欄を作成しておくことは認められている。
 
診察室内では、10分経過、15分経過、23分経過時に自動音声によるアナウンスがある。
 
必要に応じて退室し、診察室の前に備え付けられた電子カルテ端末で記録を作成する。
 
・OSCEに関わる設備
各模擬診察室内および外には、CAE社によるLearning Space Instuityの端末が備え付けられている。
学生はこちらからログインして電子カルテ記録を作成できるし、実施スタッフ/見学者は診察室内の様子を確認できる。
電子カルテ記録は保存され、後から見返して先生からフィードバックを受けることも可能である。
 【Learning Space Instuity端末】

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診察室内にはカメラが2つずつ設置され、外部の端末から角度などを調整できる。
試験中の様子は全て録画され、診察した学生の氏名(青欄)、SPの氏名(緑欄)とともに保存される。
 
・OSCEの電子カルテについて
ステーションによってはカルテを記入する必要はないが、記入する場合制限時間は10分である。
電子カルテではSOAPの全ての記載を求められ、またAでは鑑別疾患およびその根拠の記載が必須である。
SOAP形式での記載やタイピングに慣れていないと10分でまとめるのはかなり大変。
 
・muscloskeltal
34歳女性の手首の痛み。
症例は毎回異なり、他には首の痛みや腰の痛みなど様々。
15分で主訴にフォーカスした問診と身体診察を行い、10分でカルテ記載。
直腸/骨盤/生殖器/乳房/角膜反射の診察を行ってはいけないとの指示あり。
 
・counseling
60歳男性で、家族からなんとなく息がしづらそうとの指摘があったため来院、という症例(His significant other thinks that he isn't breathing well)
今回は禁煙指導にもっていく流れが主だった様子だが、症例は毎回異なる。肥満、糖尿病、うつ、アルコール依存、高血圧コントロールなど様々。
15分で主訴にフォーカスした問診とカウンセリングを行い、一度退室した病室に戻り、10分間以内でSPからのフィードバックを受ける(もはや世間話と化していたことも笑)。
カウンセリングでは患者に診断を告げ、またもし未治療の場合に起こりうる合併症について情報提供する。
また適切な初期治療の提案を行う。この際特に、非薬物的な治療(生活習慣への助言など)はどうするか、二次予防はどうするか、フォローが必要かどうか、の観点に注意する。
なおこのステーションでは、身体診察を行ってはいけない。(これは診断が既知の患者さんに対しどのようにカウンセリングをするかという能力を測るためのものだからだ、との記載あり)